ロングトーン練習:体内共鳴、息の流れを意識し、インスピレーションを持って!

今回はロングトーンのお話です。

どんな上級者にも必要な時には滅茶苦茶意味深い練習にも関わらず、興味ないとつまらない練習の代名詞。それがロングトーン。

ロングトーンといえば、モイーズ : ソノリテについてが一番使われている本だと思われます。こちらのブログの音の練習カテゴリで何度も紹介されています。

音を出すのもそうですが、初心者さん、特に楽器経験のない大人の方などは、指を思い通りに動かすのも中々難しいようです。腕&指に力が入る→肩に力が入る→息がブロックされる→音が出ない(皆さんも肩に力入れて話すー脱力して話すと声が変わるので試してみてください)。

自分が若かりし頃、ロングトーン練習に興味を持つようになるまでに年月を要し、当初は吹きながら寝てました。半分夢見ながらフと気づいたら、ロングトーン練習が終わってて、あれ?終わってる?って目が覚めるっていう典型的なダメ練習。当然睡魔との戦いの練習は意味がありません。

しかし大人の最大の武器は忍耐力です!何より指を動かすという作業を一つ減らすことで、音に集中できるという利点が!

さて、今回は教本は使わず、基本的に息の流れや質、体の中の響きなど見えない所にも意識してもらって、楽譜に縛られず、とりあえず出せる音を思うがままに出して、次の音に行きたくなったら適当に行ってくださいという練習。


息の流れの意識とは、お腹から息が出てきていることを意識するということです。無理して大きく吸うわけではないですが、なるべくタップリ吸います。その後、噴水のような息の流れを意識します。噴水は水が真ん中から出ていますが周りの水はなくなりません。シューッとお腹がへっこんでいってしまうのではなく、お腹をどっぷりゆったり保つつもりで、噴水のように真ん中の管を通って息が出てくるようなイメージを持ちます。

また他のイメージでは、息を吐きつつ、自分の中に息を吐いていってるようなイメージを持つというのもあります。エレベーター呼吸法の応用です。


次に体内共鳴ですが、低い音の時は低い声を出すが如く、胸骨のあたりに”おーーー”(←すごいと感嘆した時のオー)と響かせる感じです(実際声を出してみましょう)。胸骨が振動します。発声法が音作りには参考になります↓ 喉を下げる。



高い音のときは逆に、頭蓋骨の鼻の穴から息が通って、後頭部あたりまで響いてる感じです。鼻骨を振動させて…って言われてもフルート吹きながらよくわかりませんよね。ハミング練習法ビデオの中で鼻骨の意識が言われてますが、こちらも参考になります!




ビデオの中では”顎の力を抜く”ということが何回も言われてますが、確かにその通りだと思いました。またまた頭蓋骨を意識してください。下顎骨と側頭骨の接続のあたりは、緩やかに開いてる感じです。


こと高音域を出そうと思うと、力んで出そうとする人が多くいますが、大事なのは息の圧力からくるスピードアップと息の方向です(この件はまた今度)。口の中を狭めるのではなく、逆に広くすることを意識します。”共鳴”は力んでいては出来ません。


息の流れや体内共鳴を意識しながら長い音を吹いてると、殆ど瞑想の世界です。とにかく、あんまり頑張らないで、心地良いなぁって思いながら鳴らしてください。気張っている音よりも、心地よく吹いてる音は聞いてても気持ち良く、ともすれば、だんだんと小川の流れる音や、鹿威しの音が聞こえてくるような、そんな幻想の世界へと導かれます。


基礎練でも!”音”は常に生きてなければいけない!インスピレーションを得ながら心地よく練習することが重要です。基礎練はメソードを使うのもあり、ついつい論理に走りがちになってしまいます。工夫して、基礎練習からインスピレーションを得て、常に生きた音で練習しましょう!


どんな基礎練習にもインスピレーションがなければ音楽には繋がらないだけでなく、寧ろ、それが安定した実用的な音なほど「つまらない音楽」に繋がる危険性を含んでいます。安定したニュートラルな音というのは、目的があるならば時には重要ですが、常に自分をインスパイアした練習方法を考えてみましょう。

例えば、アルペジオの練習をするのに、どの音もシッカリ均一に鳴らしましょうとは言われるかもしれません。音程に気をつけろとも言われるでしょう。どちらもある視点からは大事です。が、和音のイメージを持つことも大事です。ドミソの和音と、ラドミの和音が同じ音色で鳴るというのは機能上は知りませんが、音楽上には有り得ないことです。アルペジョ練習練習に例えば鍵盤楽器で和音を入れて、和音の感覚を持つというのは王道練習法ですね。チューナーで基音を鳴らすのも良いかと。


一音だけのロングトーン練習も、考えてみてください。例えば、大太鼓がドン!っとなった後に出そうと思う一音と、鈴がチリリンとなった後に出そうと思う一音と、風がサーッとふいた後に出したい一音と、弦楽オーケストラがバックにあるときに出す一音・・・全て違う音になるというのは、想像が付きます。想像するだけでなく、実際に効果音を入れてみるのも良いと思います。他にも長い間響いてくれるような打楽器を使うとか・・・


ヴァイオリニストの夫は、音の練習では生徒に楽譜を読ませないそうです。全て自分の耳と体に集中するためです。夫も丁度12音階のチャイムなどを使って、音の練習をさせようかと思っていたと言っていました。音程が合うと振動して共鳴してくれるので。↓写真のような


基礎練に楽しさ&心地良さを見つけることこそ上達の秘訣!先生方は、生徒にインスピレーションを与えてあげましょう!