暗譜について:暗譜の不安と暗譜教育

しかし、実は、「どうやったら暗譜出来るか」という悩みは、そんなに大多数ではないのではないでしょうか。

暗譜はやれば出来る(時間を掛ければ出来る)。

まぁ覚えるのも曲が複雑で長くなれば時間もかかるし、大変ということもあるんですけど…どちらかというと、基本的には暗譜出来てるんだけど、演奏してて突然、

次なんだっけ~!!!

頭真っ白~・・・・


という「真っ白の時間」がどうしたらなくなるかとかじゃないかと思うのです。暗譜との闘いの半分以上は、まさに頼るものは自分の記憶力しかなし、という状況下にある不安感との闘いじゃないかと…。

その不安感と闘うことで、音楽出来なくなるなら意味がないじゃないかということなのかな??最近は「暗譜強制せず」という入試や、コンクールが増えています。日本では少ないだろうし、ピアノ科にはまずないと思いますが、西洋でも最近は暗譜当たり前と思われているようなピアノでも暗譜をしないという演奏もあります。


賛否両論ありますが、子どもと、専門的に学ぶ学生は暗譜した方がいいなと思っています。暗譜は、どちらにしろやっぱり準備にそれなりに時間を掛けなきゃいけないので、学生時代の一日中練習出来る時に、沢山して浸透させないとと思いますし、突然の真っ白も、5回、10回と重ねるうちに、パニック度も減って何とかなる。そういう奮闘も含めて勉強だと思うので。


フルートという楽器は必ずしも暗譜を要求されません。有名コンクールでさえ暗譜の必要なしとかありますし、実際プロのフルート奏者の方々で、全暗譜でリサイタルする人というのは珍しいように思います。プロの方の演奏会となると、職人として自分に課題を負わせる面もあるでしょう が、聴衆は練習の成果を聴きにくるのではなく、音楽を聴きに来るわけですから、暗譜で不安が残る演奏になるよりかは、エンタテイナーとして暗譜じゃないけど素敵な演奏という方を選ぶ・・というのは当然に思えます。

しかしフルート科でも、時々暗譜が必要になったりすることもありました。中途半端に暗譜要求したりしなかったりのフルート。最初に「暗譜必要なし」という文字を見たのは、日本で某志望大学のフルート科入試。当時は私自身は暗譜に対する不安はなく、それより音を間違える方が恐ろしくて、暗譜を苦に思ったことはなかったので不思議でした。が、その辺から、若干暗譜を避ける期間がありました。

ところが・・・暗譜って一度しなくなると、舞台で暗譜演奏の恐怖度が半端なく上がります。なので日本にいた頃、邦楽の横笛習いに行って、いきなり初回から全部暗譜で宜しくと言われ、覚えられないし不安だし…。しばらくしないと、覚える能力も落ちちゃうのかもしれません。

かつて多くの国際コンクールで入賞(暗譜)したようなチェロ奏者で、某有名オーケストラで首席で弾かれていた方でさえ、「オケ始めて譜面みるようになったら、暗譜が不安で出来なくなったからもうしない」といっていました。譜面がないという不安感。譜面に齧りついて演奏してるわけではないですが、どこか心もとないというか。この「暗譜は習慣がなくなると怖くて出来なくなる」というのは、 鈴木メソードの鈴木慎一さんも愛に生きるの中で書いていましたけど。本当そうなんです。

自分が学生時代、この中途半端な 暗譜強要のせいで?「暗譜しなくても良いんだよ」という甘えがどこかにあったせいか、何か余計恐怖が増大したように思います。「もう絶対暗譜で問答無用です」という邦楽の方が、ツベコベ言えないから潜在能力発揮(大袈裟)が発揮されたような。

そういう理由からも子どもの場合は、発表会でもレッスンでも暗譜させるべきだと思います。暗譜出来るまで練習させるという目的もありますが、子どもの頃に暗譜という習慣がなかったら、音楽は目で見るものという意識も出来るので、譜面台から離れられない子になってしまうように思います。ずっと譜面台と一緒に育った子が、大きくなって暗譜を始めるのは相当苦です。
小学校の頃は鼓笛隊でマーチングバンド(当然暗譜)したりしましたし、今まで教えて来た子どもで暗譜出来なかった子は1人もいないです。それ位普通に出来る(曲も短いし)こと。普段のレッスンで、例えばメヌエットだったら3拍子で歩かせたり、色々工夫することで子どもも面白がって譜面台から離れます。

結局暗譜は大変だけど、その分見返りもあるから、若い時にチャレンジしてみて。ってことでしょうか。

暗譜なんて超簡単! 楽勝

と、言っているプロ奏者は誰もいません。大変なのよね…と皆さん仰る。かく言う私も、今は結構ジャンル限定暗譜。

のだめカンタービレの中に、コンクールで暗譜落ちして(細かい設定は置いといて)頭真っ白~って描かれてるシーンがあるのですが、先日もコンクールで暗譜落ちしてしまっている人がいました。そこで「コイツダメだー」って批判したり、笑う人は、音楽していない人か、自分棚上げな人です。気休め程度な話ですが、審査員だって、皆舞台の大変さは分かっている方々ばかりですから、暗譜落ちしたら恥というような意識を捨てて臨むことも大事だと思います。分かんなくなっちゃったよー〜(笑)くらいに思って臨めば、ストレスが緩和されて落ちない。「暗譜は大変だから、とにかくどこかに収まれば良いということにしている」という友人ピアニストの言葉。 

邦楽の笛の方、「400曲頭の中にある」とはやはりカッコいい。でも本には、全て覚える50歳頃に修行が終了して、芸の頂点は70歳って書いてありました。西洋音楽の世界だと30歳でももう年というような印象がありますが、世界によっては50歳まで修行らしいので、あまり焦らず、完璧と力まずが一番でしょうか?



暗譜について(改訂版):暗譜の効用

暗譜のお話、その2について。暗譜の効用。

譜面を見ないで弾くことは、ピアノの発表会で多くの人が経験したことだと思います。子どもでも出来るのだから、簡単そうで当たり前に見えるかもしれませんが、曲の長さと音が増えると大変になってきます。

でもまずは、なんで暗譜するのかしら?という疑問でしょうか。

「暗譜はパフォーマンス」という意見もありますが、単なるパフォーマンスだけではないと思います。とりあえず私が暗譜が自分に与える効能と思ってることから。

一つには暗譜しておいた方が断然身に付いています。暗譜した曲は今でも一応吹けるけど、最初から暗譜する気のなかった曲は、全く思い出せない…っていうレベル、それ位違いがあります(やっつけ暗譜は除きますが)

そして暗譜をしよう!と思うと、必然と曲にもっと向かい合うように思います。最終的に暗譜で舞台で演奏するかどうかは別としても、演奏する曲は全て暗譜で吹ける位になるまで吹けた方が良いでしょう(特に専門的に勉強している人は)

私がなるべく暗譜して吹こう~と思っている曲(なるべくと出来る所がフルート科の適当さですが)は独奏ソロ曲です。ヒトリポツネンなので、失敗しても責任は我にありということで、適当に誤摩化せるという気楽さもあります(笑)
演奏する曲は、独奏曲は邦人作曲家の現代曲が主です。不可能な曲もありますが、大体は覚えようと思えば覚えられます。現代曲は見て吹いて、古典物を見ないのが普通ですが、暗譜した方が効果が高まる気がして暗譜するようにしてます。

篠笛の曲とかだと尚更で、指譜(タブラチュア)で書いてあると、5線譜に比べて慣れてないのもあるので、確実に「読んでしまう」のです。読んでしまうとどうなるかっていうと、妙に冷静というか、妙に違う意識が働いて、打込めないというのかな?本番で譜面を読み過ぎてしまう危険性というのでしょうかね。

現代曲の曲想は色々ですが、私個人の感想では「雰囲気」というものを描写してる曲が多い用に感じます(音楽はどれも雰囲気を描写してるのかもしれないけど(^^;)その雰囲気というものは、読んで聞かせるような雰囲気ではないことが多いような気がするのです。現代曲は聴衆にとっては意味不明なところがあると思うのですが、訳の分からない物を「これは呪文です」と確実に読みながら言われるよりも、アブラカタブラーっと只管唱えてるような様子の方が「これは呪文だ」と思えるというのでしょうか。
ここでp、あっちでf、ここは2.5拍・・・と確実に演奏することも大事なのかもしれな いですが、その確実な作業が、雰囲気を壊してしまうというか。。。特に独奏だと、相方が出すオーラもないですし自分1人です。もしその雰囲気が自分の中からワーっっと出て来たら、多分もっと効果があるだろうと思うのです。自分自身にも、観客にも。自分1人で全部の雰囲気を作り上げなくてはならないとなると、楽譜が邪魔な存在に思えてくるのです。

さすがにアンサンブルになると人の分まで覚える上に、 連帯責任になるわけですから暗譜は厳しくなりますが、ソロは勝手に崩壊しても人間関係の崩壊にはならないわけで、だったらリスクを取った方が良いよねと思い暗譜することが多いです。

 「暗譜は譜面から解放されて自由になるためだ!」と、ヴァイオリニストの我が夫は常々言うのですが、暗譜をある意味やらされてた辛かりし頃は、暗譜の何が自由なんだ!!と腹を立てていました。それは暗譜にはリスクがあり、大変だからです。ただ暗譜を意味を持ってしようと思っている今は成る程確かに自由になれるなと思います。ただし楽譜から自由になるためには、それ相応の努力がもちろん要求されます。

トレバー・ワイ氏の フルート教本 5 呼吸法とスケールの最後にも暗譜について少し書かれています。スケール本の後ろに暗譜?と思われそうですが。そこでも氏は「台本の束縛から離れた自由を楽しんで下さい」と書かれています。スケール本の後ろに何故暗譜、なのですが、そこには即興演奏のことも少しだけ書かれています。即興が出来るようになるにも、ある程度の知識とそれに伴う技術が必要で、スケールで養えるから、スケール本に載っているのかな?

かつてはカデンツなども自身の即興を演奏していたのですが、今はそういうことも少なくなり・・・。即興も最初はウワーっとパニックになるかもしれませんが、やってみると案外楽しいものです。私達は、言ってしまえば少し既に書かれている「正しい譜面」というものに、囚われ過ぎているのかもしれませんね。

暗譜について (改訂版):暗譜するには?

普通のブログの方に書いた記事の改訂版です。

皆さんは暗譜されている、されたことはあるでしょうか。フルートでは暗譜というのは、必ずしも必須項目でない方もいるかと思いますが、「暗譜」とは一体なんだろう?ということで、フルートテクニックとは関係ないですが、
「暗譜するには?」 
「暗譜とその効用」
「暗譜の不安」
 について書いてみました。

先日四代目寶山左衛門さんの本を読みました。その中で、古典邦楽の笛吹きさんの覚える曲はざっと400曲と書かれていました。知り合いの箏の方もお囃子(邦楽の笛・太鼓)の人達の莫大な曲数を頭に入れてると言ってましたが・・・。

邦楽は基本全部暗譜です。しかも全楽器共通の譜面じゃないので、総譜もなく、他の楽器も覚えておくという、耳で全部覚えるという世界。伝統邦楽は本来は口承伝授なので、続けているうちに、とにかく耳で覚える能力が高くなるのだそうです。それは、鈴木メソードの開発者、鈴木鎮一さんの本、愛に生きる にも書いてありました。私は邦楽の口承伝授にすごく興味があり、それに近い鈴木メソードの論理にも興味があります。基本暗譜前提で、とにかく聴いて覚えろという彼らのメソード。結局自分は譜面から見て覚えてますが、でも沢山聴くことの大切さは絶大です。訓練してると暗譜も早くなるらしいですが、能力の差はあれど、特殊能力ではないのかなとは思います。

ここで、日本の笛を習った時のお話です。

日本の横笛を吹く時、最初に唱歌という呪文を覚えさせられます。オーヒーヤーリーなどという呪文に音程みたいな物が付いているのですが、呪文そのものは音楽の雰囲気だけ伝えていて指遣いとはあまり関係ありません。それを覚えた後指遣いを教わります。で、「はい吹きましょう」となるのですが、唱歌を覚えていると意外と指の動きも付いて来るので、なるほどと思う分けです。とにかく「唱歌から覚えて下さい」と言われ、一度きちんと覚えずレッスン行ったら「覚えてなかったら意味ないですから。」と5分で終了しました。

この方法は、指は指の動きとして単独で覚えているのかもしれないです。よく分かりませんが、仮に指の動きが分からなくなっても、唱歌を頭の中で歌っているので、指の動きが一瞬分からなくなっても続けられるような面があります。

これが同じ横笛でも呪文譜でなく五線譜や指譜(タブラチュア)の場合は、残念ながら私の耳はほぼ全てドレミで聞こえてしまいます。でも同じように頭の中に何かしらの音なり、呪文なりが流れてそれに合わせて指が動いているように感じます。
 私の場合、フルートのでもやはり唱歌がごとくドレミで頭の中でずっと唱えています。フルートは単旋律の分、それがしやすいのでしょう。


暗譜に関する本「こうすれば暗譜出来る!」みたいな本はほぼないですが(効率性の問題じゃないからね)、音楽家が書く本の多くに暗譜についてのエピソードが書かれてます。プロの方々、色々思われるんでしょうね。ヴァイオリニスト千住真理子さんのヴァイオリニスト 20の哲学の中には具体的に彼女の暗譜の仕方書いてあるようです。千住さんは、確か譜面はヴィジュアルで覚えるという方法とどこかで聞いたような…。ヨガのスゴい記憶法だったかに「見て記憶した物を頭の中で見て読 む」・・・みたいなのがありますが、それとは違って、頭の中に書いてある音を見ながら演奏するというわけではないですが、私も言われてみれば、3ページ目に入った所(パート譜)というような目安は頭にあります。

ピアノの暗譜の際は特にそうでしたが、動きを覚えてた気がします。ここは手が広がってパラパラパラって降りてくる…というその動きを覚えたりして。ピアノの場合忘れやすいのが左手だったのですが、フルートも同じでアルペジョがバーっとあるのは良いとして、そのバスの音しか覚えてなくて中身がうろ覚えとか(逆然り)。例えば楽曲分析をすることで論理立てて覚えるということが助けになるかもしれませんね。フルートパートの中でもメロディーと伴奏の役割をしっかり理解するなどは、暗譜に大役立ち!

もう一つ、たまに中々覚えられない・・・というのがありますが、素早く覚えるという点については、「慣れ」もあるでしょうし、後は練習するしかないかな?というの(^^;

素早く覚えるには、とにかくとにかく沢山聞くというのは、大きな手段の一つに思います。上記の鈴木鎮一さんの本、愛に生きるの 中では、何人かのお弟子さんのヴァイオリニストが、何回か聞いてパパッと音を覚えたなんて話が出て来ます。箏の方が御師匠さんも同じで何回か聞いてパパッ と覚えちゃったなんて話を聞くので、優秀な方々のお話にしろ、有り得ない話じゃないのだなぁと。

どちらの教育も、耳からの記憶能力を伸ばすという点で似てるのですが、音楽は結局「聴く」ことだから、多いに有効ではあろうと思うのです。音楽が書かれて、誰でも読めるものになったのは、歴史的にみれば最近のこ とですから。それに沢山聞くことは、曲だけじゃなくて、曲想・音を磨くのに最適な方法だと思います。

そして覚えるぞ覚えるぞ覚えるぞーーー!!!って思いながら覚えようとすると、脳みそが硬くなって覚えられないらしいので、覚えるぞーーー!!!!!っていうよりも、覚えちゃったぞ!の方が良いと思います。

まずは、音楽のこと考えて、練って、一部分だけでも見ないで演奏したりすることなんでしょうかね。

暗譜に関しては、暗譜のプロフェッショナルではないので、私も研究中です。

暗譜その2では暗譜の効用、その3では暗譜の不安についてお話しますね。




アンサンブルのコツ 音楽をつなげる

再び時間が経っての更新です…。前回書こうと思いました、アンサンブルの続きです。

引き続きボザの「夏山の一日」。


アンサンブルによっては、1stフルートがひたすらメロディーを吹き、他は和音を構成する伴奏というパターンもありますが、本格的なアンサンブルや、アレンジでもきちんと作られてるのは色んなパートに所謂「聴かせどころ」「美味しい所」が分散されています。それをどう繋げて、どう展開させて行くかというのも聴かせどころの一つです。


第一楽章は、2ndフルートのテーマから始まります。4小節の終わりでディミュニエンドで3rdフルートにテーマを渡します。次に2に4thフルートがテーマを引き継ぎます。この引き継ぎの際に注意するのが、テーマを終える人が音楽を終えてしまわないようにすることです。ディミュニエンドがあると益々終えたくなりますが、自己完結してしまわないで、次に”渡すよ”という心意気を持ち繋げて行くことです。


写真1

写真2

具体的にはテンポを落とさないとかです。とくに練習番号2の一小節前の2ndフルートのように細かい音になっている時や、写真2の練習番号5の1stフルートのように細かい音になった上に次が休拍の時など。細かい音が休拍の後が休拍だと音が「ブツっ!!」っと切れた感じになるのが怖いので、ついついリタルダンドをしたくなりますが、折角練習番号4でA tempoに戻った所に出ばなをくじかれてしまいます。コツとしては、練習番号の5の、2ndフルートの"E" (ミ)を吹くつもりで…でも吹かない。するとブッツリ切れた感がなくなります。




一楽章のクライマックスに近づくと短くなった主題モティーフ(動機と言ったかな…)が繰り返されて、練習番号10に向かって行きます。これは毎回切れてしまわないように特に注意していきましょう。




 
こちらで音も少しだけ聞けます。



アンサンブルのコツ メロディーと伴奏のバランス

 先日自分が高校生の頃(普通校)の吹奏楽部の東関東大会の演奏を発見しました。懐かしいが一番ですが、結構上等の出来で驚きました。他の学校はもっと上手でしたが。日本の吹奏楽のレベルは高い。我が吹奏楽部では当時アンサンブルもありました(とても覚えてるのは、カステラードの笛吹きの休日)。アンサンブルは規模が小さくなるので個人の技術がバレバレになり、その分全体の実力は必然と上がりますね。音程も練習しやすいなど利点が沢山。吹奏楽部で吹かれている方、是非アンサンブルを!

さてアンサンブル・吹奏楽に限らず合奏ではバランスが大事です。皆各自のパートを吹くのに必死でバランスが悪くなり全体の出来として何がなんだか分からない、ガチャガチャした物が出来上がるということがあります。

バランスには色々ありますが、一番単純なのはメロディーと伴奏です。今回はそのメロディーと伴奏のバランスのコツを伝授。

当たり前ですが、伴奏パートがメロディーより「目立つ」と、何が何だか分からなくなります。しかしどうすると「目立っちゃう」のでしょう?

以下、ボザの夏山の一日のロンドを例に少し説明します。

図一の楽譜は単純明快で、1ST フルートがメロディーで、2nd 3rd 4thフルートが伴奏です。以下のように、伴奏パートは和音を四分音符(二分音符、四分音符)など単純な譜割で作ってる場合は、音程・縦の線(アインザッツ、入りを揃える)・長さを揃える事が大事です。そして、音量的にメロディーに勝らないようにする。下の譜面は、メロディーラインが高音域、他は中音域と低音域なので、音量的心配は殆どないでしょう。音程・縦の線と長さを揃える事に精を尽くします。
また最低音は支えとして重要ですが、フルートは悲しきかな低音の音量を鳴らすのが難しい。パート分けをする時は、低音ががきちんと出せる人が、低音パート(主に4TH)を担うべきです。

図1


次は図2のパターン。メロディーラインは2ndと4thがオクターブ 差のカノン(かえるの歌)で担当しています。メロディーがズレて入るぶん、既に少しややこしく聞こえますが、そこに持って来て、16分音符の伴奏が1st & 3rdにあります。
上手くすれば、水の流れのように風のように吹き抜ける音符の中、山を散策する人々のこだまする声…の描写(勝手なイメージ)にもなりますし、下手すると何が何だか分からない土砂崩れの図になります。

こういう一見ややこしそうな譜面は、奏者が分け分かっていないと聞く方には何も見えて来ないので、まずは奏者の耳にクリアーになるようにしましょう。
1.メロディーカノンだけで吹いてみる。伴奏パートだけで吹いてみることは必須。
2. 伴奏は16分音符の分散和音になっても、かならず音程・アインザッツを合わせる。
3. どの音量もmf の指定にはなっていますがメロディーに比べ、ほんの少しだけ音量を落とすのがコツ。音量を落とすと考えるよりも、メロディーを聴く、お互い聞き合うと考えると自然と少し音量が落ちます。

図2


さて図の3A&3B曲の最後のクライマックスです。当然ここでも重要になるのが、伴奏だけの練習です。こういう16分音符の伴奏の場合ついつい指の事に集中してしまいがちですが、もちろん指が回る事も大事ですが、音程ー長さーアタックを揃えるということが重要です。3人が沢山の音を吹いているので、合っていないと邪魔感が増します。各自のアルペジョの音程があっていること(個人練)、そして3人でゆっくり吹いて音程を合わせることが重要です。
さて、これは曲の最後のクライマックス部分です。Più vivoとありますから、伴奏だからって音量下げて始めてしまっては、盛り上がりに欠けます。こういう時はやはりffでしっかり始めて、そしてメロディーが入る所で少しだけ落とす・・・という技を使ってみましょう。
といっても、いきなり落とすと思うと不自然になったりします。そういう時は(個人練で)「自分の伴奏パート2 小節を吹き、そのままメロディーラインを吹く・・・」という練習をします。すると自分のパート吹いている時もメロディーラインが自然と聞こえ、さも自分が吹 いてるように思え、自然に音量を落とす事が出来るのです。音楽ではこういう「不思議な自然感」を持つことがとても大事です。
図3Bの一小節目のように、メロディーパートがない部分では元の音量に戻し、大きく<>をするのも効果的。

図3A

図3B
   
図3の伴奏は、下行形にクレッシェンド、上行形にデクレシェンドという難しい業が使われていますね。これが出来るようになるには十分な音の練習が必要ですね。素敵な伴奏には沢山のテクニックが要されます!

吹奏楽部の皆さんも、そうでない皆さんも是非アンサンブルを♪



こちらで音も少しだけ聞けます。

 

脱力運動その3:上半身を縮こまらせずにユッタリと使う運動

脱力運動続編です。

上半身上部の脱力最後です。この運動は「脱力」というより、体を(ゆったり)大きく使う、スペースを知るという感じかもしれません。

今私もパソコンを打っていますが、目先は数十センチ前の画面、手はキーボードの上です。これをずっと続けていると、全てが△のてっぺんに集中したような感じ・・・・と言えば良いでしょうか、肩は凝るし首は凝るし・・・

フルートも譜読みを続けて、難しい指使い、出しにくい音と戦っているうちに、肩に力が入り、目線は数十センチ先の譜面に釘付け・・・本番前にはさらに必死さも増し、そしてそのまま本番へ。△のてっぺんに力が入ったまま・・・

今回ご紹介する体操は二人組で行います。
1人は椅子に座り、もう1人は横に立ちます。
座った人は片方の腕を伸ばし、もう1人の人はその手首を支えます。
座った人はもう片方の手で、自分の鎖骨の間辺り、頸椎(首骨)との交差点辺りに手を置きます(首を動かすと動きが感じられる所。動きを感じるためです。)
次にゆっくりと立っている人がいる方向に顔を向けます。
自分の指先をしっかり見て、そして立っている人と視線を合わせます(このときの体の動きにも注意を計りつつ・・・)。
この距離を見ることと、骨の動きを知ることが大事です。
そしてまたゆっくりと、今度は反対方向に首を向けます。
そして元に戻します。
何回か行って、交代します。

例によって、あまり上手でない絵による解説です↓(立ってる人が顔無しになってしまいました )

目線を合わせるのが大事

以前ご紹介した、簡単なヨガの本にも書かれていますが、この距離を見るという感覚は中々新鮮です。いかに自分は狭い所を見ていたか・・・と感じる人もあるかもしれません。

この「自分の空間を感じ取る練習」は色々とあるのでまた紹介していきたいと思いますが、講習会でこの練習をした後に皆が楽器を持ってみると、音がまず飛んでくる。既に楽器を構えるジェスチャーがゆったりしている(せせこましく楽器を構えるプロの人はいませんね・・・)など、耳にも見た目にも変化がありました。面白いものですね。皆さんも空間を見る練習&体の動きを感じる練習をしてみてください。それこそ、視野を広く持つことの大事さを時間できるかもしれません。

この本の中にも少し空間を見る練習があります。

脱力運動その2:肩の脱力ー腕まわし

あけましておめでとうございます。今年も更新していきたいと思います。去年は少し間が開いてしまいましたから、今年はなるべく定期的に!

前回の脱力運動、バランス立ちの記事を読まれた方から、肩の力抜きの運動のリクエストをいただきましたので、今回の話題は「肩」!


私も音大受験時代、肩がおばあちゃんみたいに凝ってると友人に言われました。ガッチガチ・・・でも、皆さん試しにググっと肩に力を入れてみてください。同時に首&肺周辺も力はいりませんか?これでは音が飛ばないだろうというのは、想像もつきやすいですよね!

ということで、早速肩の脱力運動へ!新年早々、肩凝りを治そう!(多分肩こりも少しなおる気が??)


肩の脱力運動は二人一組なことが多いのですが、この運動は壁を使ってもなんとか出来るかもしれません。

とりあえず腕をぐるぐる回すという体操です。ただし、反動をつけたり、勢い良く、速くまわしたりという必要性は全くありません全く逆で、肩甲骨の動きを認識するための体操なので、手の先ではなく、腕の根元を意識して腕を回します。腕を伸ばしているのがつらかったら、腕を曲げていても構いません。前回し、後ろ回し、水平前後運動と、とにかく可能な動きを、適当に変えながら行います。その間、肩甲骨のところに相方が手を当てておくと、より一層肩甲骨の動きが分かります(それを一人の場合は壁で行うことも出来る)。手を置いている方も、相方さんの動きを感じることで、骨の動きが分かります。

何分間か行い、動きを止めて腕をおろすと、ちょっと違った感覚が感じられると思います。人によって違うらしいので、「こうです!」とは言えませんが、私の場合は、腕が自分の所有物であることを改めて感じた・・・という感じです。つまり腕が体の幹である胴体とは別物に感じるような、それでいてそこにちゃんとくっ付いている物体であると再認識できるような、そんな感覚です。

腕って体の一部であることが当たり前で、適当に笛を持って、適当に吹き始めちゃうみたいな・・・適当感満載だったのですが、腕は別ものという感覚が出来ると構えの美しさも変わります(美しいと、自分で言ってしまいました)

肩は腕の根元で、腕とはハンガーがごとく、胴体にぶる下がっている物体なのです。フルートを構えて、完全に肩が腕を支える状態になってしまうと、肩に力が入ってしまいます。この根っこである肩甲骨とのコンタクトを失ってしまわないように、肩甲骨から変に浮いてしまわないように(フルートを構えれば、少しは上に動きますが)気をつけてみましょう。

注意すべき点は、私も先日やって思ったのが、若い頃よりすべての動きがきつくなっているということです。ということで、とにかく無理をする必要はなく(脱力運動からぎっくり肩になっては大変!)、出来る早さ、出来る範囲で動かすことです。

肩、上半身上部についての運動はもう一つあるので、次回はそれをあげたいと思います♪


リクエストがあると記事も書きやすいです(^^)皆さん何かリクエストありましたら、リクエストページコメント欄、またはflute_start_enjoy_master-request@ヤフー.co.jp (ヤフーをyahooに置き換え)へどうぞ♪