アタックのクオリティ -タンギング -

タンギングとは総じて舌を打つことですが、音の最初の瞬間のタンギングを「アタック」と言ったりします。このアタックは「音の練習」カテゴリに入ってます。教本として最も有名なのが、マルセル・モイーズというフランス人のフルーティストによって書かれたソノリテについて (Leduc版)です。

 

この本の中にアタックの練習というのが載っています。


一つの音(例 中音ファ)から半音ずつ、毎回最初の音に戻りつつ、ジグザグと段々音が離れて行くという練習です。課題1がアタックの練習で、その後課題2&3はスラ―になって跳躍の練習、課題4は全部スラ―で繋がって唇のシナヤカさ必須の練習みたいになってます。

今回はアタックのお話なので課題1です。

私はこの練習を、まずフっフっ(腹筋)と舌付なしで行います。案外難しいんです。中・低音域の舌無しとか結構調整がいる。でも何事も基本はお腹からの支えなのでまずはこの練習をします(参照:腹筋の使い方)。

その後タンギングを入れるわけですが…タンギングはツクと言いますが、ツク方ではなくて引く方を意識した方がキレイに出来ます。「タ・テ・ト」どの文字も、舌を付いて発音してるのではなくて、引いて発音しています。(同じタ行のチ&ツを入れなかったのは、厳密にはTじゃないから)

そして舌の直ぐ後ろまで、もう外に出たくてたまらない息が待機している感じ。
シャンパンの栓を抜くが如く、舌を引いた瞬間に息がパーっっと出て音になる。

そんなイメージです。

吹奏楽部時代、よくアタックを揃えてとか、アタックを丁寧にとか言われました。吹奏楽器の難しい(&基本)技術の一つなのかもしれません。

八分音符や四分音符が単独で書いてあり、ff なんて指定されるとついつい張切って思いっきり力任せに「Tu!!!!!!!!」と吹きたくなります。ところが、フルートは大体そんなことをすると、ピヤっ!!!と音がひっくり返るか、ペッ!!!と吐き捨てるような音になるか、べらぼうに音程が高くなってしまうか・・・とあまり良いことがありません。

とにかく息の支えが大事です。

タンギングが強くなれば、その分後ろからのサポートが必要になるわけです。そのサポートは息の支え(量ともまた違う)です。

私の元師匠が、最もタンギングが上手いと感じるのはフランス人(フランス語圏人)だそうです。フランス語は母音が後ろにある事が多いので、多分息の通ったタンギングの仕方を知ってるのかな?と思いました。日本語は案外子音がキツい言語なので(でも子音の連続には弱いという・・・悲しきかな) 、タンギングはタップリ優しく・・・みたいなイメージで練習されると丁度良いかもしれませんね。