ピッコロの音色と腹筋の使い方

<<高音域の練習はついつい口に頼ってしまうので、腹筋の練習で腹筋を鍛えてみると良い>>

と、以前の記事 (参照:腹筋を使って高音の練習)でもお話しました。まずは、ピッコロは音域がフルートより一オクターブ高いせいか、まるで高音域を吹くかのように吹いてしまう人がいますが、ピッコロの低音域は”低音域”、中音域は”中音域”。中音域から高音域のように吹いてしまうと、高音域ではなす術もなく。。。口に頼って出さないように気をつけましょう。

ピッコロはフルートよりもずっとお腹の支えが必要になります。腹筋を使って高音の練習を参考に腹筋を使った音練習をしてみて下さい。

腹筋練習の話は何度かしてきましたが腹筋の練習というと、ついついお腹を完全に凹ませ、激しく動かしてしまいます。
ですが、実際にはお腹の中の空気を空にしてはいけないのです。図の緑の状態が通常として、軽く吸った状態がピンク、ガッツリ吸った状態が青。腹筋の練習は、青(満タン)とピンク(軽く吸った状態)の間を行ったり来たりする感じ・・・とは、以前の記事にも書きました。




次に、ピッコロはフルートよりも使用する息の量はずっと少ないです。ピッコロは管体がとても小さいので大量の息を勢い良く入れすぎると、『振り切れたバロメーター』『許容範囲オーバーの大ボリュームにされたスピーカー』のような音になってしまうのです。音程も必然的に高くなってしまいます。

ではただただ大人しく吹けば良いのか?

ピッコロを吹いた事のある方なら分かると思いますが、それでは音が出ません。”息の圧力”が減るとヒョロイ音になってしまう、高音域は出せない。息の圧力はフルート同等、それ以上に必要です。
私のイメージでは、少量のでもコンパクトにまとまった中身のある息を送る感じです。フルートと”同等の圧力”を与えるためには、フルートと同等の量の原料が体内に必要になる(=同等の量の息を吸う)のですが、一方で息がドバドバと出て行かない為に自身で抵抗を作るので、結果”お腹の支え”がフルートよりもっと必要な感じがします。
お腹からしっかり吹いて

などと言われると、ついつい”お腹をハァッ!!と凹ませた勢いで”としがちですが、実はほぼ真逆です。お腹からしっかり、というのは、逆にお腹でしっかり支える感じ
図の、赤い矢印の力が働いている感じです。腹筋練は、ハッ!っという外からの力に対し、中からの相撲取りが”より出し”しようとする力もあるわけです。
何故いきなりお相撲さんを例に出したかというと、その全ての”力作業”がしなやかに行われなくてはならないからです。肩やら、膝やらがガチガチに固くなってしまっては、元も子もないのです。お相撲さんの寄り相撲が如く、シナヤカに、重心低く。。。

この感覚をマスターするのに、とってもおすすめなのが吹上パイプ

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ピッコロ吹きの皆さん、是非試してみて下さい。今までとピッコロの音色が変わるかも?

1:4:2の呼吸法

私のお気に入り呼吸法の一つです。

呼吸練は、肺活量を増やすという練習と、上手に使うという練習とあります。これはそのうち、『肺活量を増やす』方だと思うのですが、同時に少し上手に使う要素も入っています。


内容は極めて簡単で、

「吸う:止める:吐く」を1:4:2の比率で行います。大体『吸うを五秒』に設定して始めます。ということで、5秒吸う:20秒止める:10秒吐くで始め、これを5回繰り返しますが、全て『鼻』で行うのが特徴です。

鼻で吸って、鼻で吐く。案外吐くが大変です。鼻からの息って口から出す息より調節が大変なのです。「8秒吸う」辺りから少しずつ難しくなって行きます。時間が掛かりますし、座って行いましょう。

酸素は動くと使われてしまうので、なるべく脱力、なるべく動かないがポイントです。

この呼吸法はヨガの本に載っていたもので、自己コントロールにも繋がるのだとか。確かに体の使い方のコントロール力は求められるかな。
ふいご呼吸法もそうですが、呼吸法は物によっては体力と気力を使います。運動と同じで、呼吸力も落ちるので、お休み期間が入ったらまた少しペースを落とした所から始めましょう。

とても地味な練習ですが、部活でも一斉に出来るのでお勧めです。息を止めるというのを混ぜることで、肺活量が鍛えられます!

是非お試しあれ!







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改訂:ビブラート

フルートでビブラートがかけられるようになれば、表現の幅はぐっと広がります。ビブラートはかければ良いというものでもないですが、色んな意味で個性が見える技法だと思います。

ビブラートはかけたくてもかけられないという人と、自然とかかりましたという人といます。ビブラートが自然とかかりましたという人の多くは喉に力が入っているチリメンビブラートになっています。ちりめんビブラートとは、布のちりめんから来ているのですが、喉で掛けてしまうため音が一瞬死んだ状態になるのです。ちりめんが如く、細かい震えになってしまいビブラートの幅調節が出来ない、常時掛かっているような状態になってしまいます。ビブラートというのは「表現方法」の一つで、いつでもどこでも掛かっていれば良いというわけでもないので、ちりめんはNG。


ビブラートが掛かりませんという人を含め、どちらのケースでも実際使いこなす、コントロール出来るようになるには、ある程度の練習が必要になります。



どんな練習が必要かというと・・・ビブラートが掛かるようになるための練習・・・というより、腹筋の練習(参照:腹筋を使って音の練習)を地道に沢山していればそのうち何となく自然と掛かってくるのでは?というのが、私の自説です。腹筋がないうちは、ビブラートは掛かりません(かかってもチリメン)。 フルートの先生によっては「ビブラートは勝手に段々掛かってくるから考えなくて良い」という人もいますし、「地道に練習するべきである」という人もいます。どっちが正しい、というのは、あまりないと思うのが非常に日本人的な私の意見(笑)


というのも、私の場合はいつからかは分かりませんが自然とビブラートらしき物が掛かってきたようです(覚えてません)。と、同時に大学に入った頃からそのビブラートでは不満足だったのです。上手く自分で調節する事が出来ず曲の雰囲気を壊すビブラートでした。だから「もっと良くしたい」と思い、ビブラートの練習を始めました。

何でもそうですが、技術習得にはまず「欲求」が必要だと思っています。何に使うかも分からないのに、システマティックな練習をするのは、ある意味非効率的。何に使うかも分からないのに、工具セット一式、お料理セット一式を買うような物です。使用目的が分かっていれば、目的に合った物が買えるわけで効率的!
ビブラートが少し掛かってきた、もっと自分の思うように調節したい、もっと素敵なビブラートにしたい、なんていう欲求が自分の中で湧いて来た時、”ビブラートの練習”というメソードと向かい合うのが良いと思っています。そうでないと退屈で地味な練習と格闘しながらも、意味のない練習になってしまうと思うのです。 そしてビブラートが全く掛からないという人は、腹筋練+沢山フルート(プロの)を聞く事です。プロでビブラートが掛かってないというのは、バロックスタイル演奏以外は有り得ないですから、まずはイメトレから。


ビブラートの練習の教本ですが、私が使ったのはトレヴァー・ワイ フルート教本 第4巻―音程とヴィブラート [改訂新版]
 トレバー・ワイさんらしい、めちゃくちゃ詳細まで載ってる練習方法です。内容的には中級より上の人向けです。忍耐・時間・・・が必要です。

或は小泉浩さんの朝練 フルート 毎日の基礎練習30分 は初心者〜初中級者、部活のでフルートを吹いている人にはその他の練習もまとまって載っているので大変有効です。

最後に、本の中に図式や、『音を曲げる』といった表現が出てくるのですが、実際音を曲げるとは??という、ちょっとした説明。



難しいパッセージが出てきたら

アンサンブルについて連続になりますが、夏は講習会などでアンサブルを教える機会が多いので、夏のアンサンブル特集ということで。

アンサンブルというのは仏語で「一緒に」という意味です。つまり一緒に吹きましょうということですね。同時に吹くために必要なのが、同時の拍感、同時の呼吸でしょうか。

一人で練習している人などは特に休みの部分の拍子感の無視、間違えたと吹き直してしまったり、長い休みは適当に飛ばしてしまったり・・・
そういう癖がついていると、アンサンブルの時に困ったりします。いざ数えようと思ったら相手がどこを演奏してるのかサッパリ分からず・・・(こういうのを”落ちる”といいます)少人数のアンサンブルでは他の人のパートを知っているというのはとても大事なことです。
私は余裕があれば他の人のパートもそこそこ練習するのが一番だと思います(そうすることで相手のパートもより聞こえます)。

例えば、休みを数えた後どうしても入れないということがあったとします。大体入れないという時は、拍子感覚が崩れてしまう時なのですが、そんな時は相手のパートを吹いて自分のパートに繋げる練習がお勧め。ピアノでもなんでも、メロディーライン部分など吹ける所を吹く。そうすることで相手のパートもしっかり感覚で掴めるようになります。

下のような音型のDuoがあったとしましょう。アウフタクとがあると入りにくいなんてことはしばしば。そこで、一番フルートを吹き、二番フルートに繋げる練習をします。その時に大事なのはしっかり拍子感覚を持って練習する事。これを何回か練習すれば、”三拍半休み”もずっと音楽に乗って数えられるようになります。


これは基本的パターンですが、難しい曲でも応用出来る事です。ややこしいリズムも、聞いてるだけでは実は余計ややこしかったりします。吹けるようになってしまえば(練習と言う労力は払うにせよ)、ややこしさは半減。

さて、いざ合わせるとします。時々、曲と全く関係ない速度、全く関係ない間で吸う人がいますが、基本的にはカンニングブレス以外は曲のリズムの中で吸います。相手のパートを全部聞き終えてから慌てて吸うのでは遅れてしまうのはおろか、音楽も壊してしまいます。私ならば、曲のテンポと雰囲気にもよりますが、入る一つ前の四分音譜、あるいは八分音符に合わせて息を取ります。

八分音符で取る場合は、休みの数え方は、3と、1と、2と、スっ

のようになります。普段の練習から、常に拍子の中で、相手パートを意識して、それに見合った呼吸を取る事も大事です。

息を合わせると言いますが、音楽でも呼吸を利用してタイミングを合わせるわけですが、その呼吸は音楽に沿ったものでなくてはなりません。全員が吹奏楽器だとそんなに問題はないのですが、ピアノ、弦楽器などと合わせる時は時々息による障害を感じる事があります。しかし音楽には常に呼吸がありますし、弦楽器の人でも上手な人は呼吸をして音楽を作っている位です。なので、もしあなたの吹奏楽器奏者でないパートナーが息を吸わずに演奏していて合わせる事が出来ず「ここは音楽的に呼吸を取る所なのではないだろうか」と感じたら、積極的に提案してみて下さい。「ここは本当は息は吸いたくないのだけれど、残念ながら力不足で・・・」という場合は、丁寧に一瞬待ってもらうようお願いしましょう(^^;


吹奏楽器の呼吸は、決して欠点ではなく、むしろ利点です。ただどのようにその呼吸を使うかというのがポイントでしょう。


アンサンブルのコツ:相手のパートを知る&息を合わせる

アンサンブルについて連続になりますが、夏は講習会などでアンサブルを教える機会が多いので、夏のアンサンブル特集ということで。

アンサンブルというのは仏語で「一緒に」という意味です。つまり一緒に吹きましょうということですね。同時に吹くために必要なのが、同時の拍感、同時の呼吸でしょうか。

一人で練習している人などは特に休みの部分の拍子感の無視、間違えたと吹き直してしまったり、長い休みは適当に飛ばしてしまったり・・・
そういう癖がついていると、アンサンブルの時に困ったりします。いざ数えようと思ったら相手がどこを演奏してるのかサッパリ分からず・・・(こういうのを”落ちる”といいます)少人数のアンサンブルでは他の人のパートを知っているというのはとても大事なことです。
私は余裕があれば他の人のパートもそこそこ練習するのが一番だと思います(そうすることで相手のパートもより聞こえます)。

例えば、休みを数えた後どうしても入れないということがあったとします。大体入れないという時は、拍子感覚が崩れてしまう時なのですが、そんな時は相手のパートを吹いて自分のパートに繋げる練習がお勧め。ピアノでもなんでも、メロディーライン部分など吹ける所を吹く。そうすることで相手のパートもしっかり感覚で掴めるようになります。

下のような音型のDuoがあったとしましょう。アウフタクとがあると入りにくいなんてことはしばしば。そこで、一番フルートを吹き、二番フルートに繋げる練習をします。その時に大事なのはしっかり拍子感覚を持って練習する事。これを何回か練習すれば、”三拍半休み”もずっと音楽に乗って数えられるようになります。


これは基本的パターンですが、難しい曲でも応用出来る事です。ややこしいリズムも、聞いてるだけでは実は余計ややこしかったりします。吹けるようになってしまえば(練習と言う労力は払うにせよ)、ややこしさは半減。

さて、いざ合わせるとします。時々、曲と全く関係ない速度、全く関係ない間で吸う人がいますが、基本的にはカンニングブレス以外は曲のリズムの中で吸います。相手のパートを全部聞き終えてから慌てて吸うのでは遅れてしまうのはおろか、音楽も壊してしまいます。私ならば、曲のテンポと雰囲気にもよりますが、入る一つ前の四分音譜、あるいは八分音符に合わせて息を取ります。

八分音符で取る場合は、休みの数え方は、3と、1と、2と、スっ

のようになります。普段の練習から、常に拍子の中で、相手パートを意識して、それに見合った呼吸を取る事も大事です。

息を合わせると言いますが、音楽でも呼吸を利用してタイミングを合わせるわけですが、その呼吸は音楽に沿ったものでなくてはなりません。全員が吹奏楽器だとそんなに問題はないのですが、ピアノ、弦楽器などと合わせる時は時々息による障害を感じる事があります。しかし音楽には常に呼吸がありますし、弦楽器の人でも上手な人は呼吸をして音楽を作っている位です。なので、もしあなたの吹奏楽器奏者でないパートナーが息を吸わずに演奏していて合わせる事が出来ず「ここは音楽的に呼吸を取る所なのではないだろうか」と感じたら、積極的に提案してみて下さい。「ここは本当は息は吸いたくないのだけれど、残念ながら力不足で・・・」という場合は、丁寧に一瞬待ってもらうようお願いしましょう(^^;


吹奏楽器の呼吸は、決して欠点ではなく、むしろ利点です。ただどのようにその呼吸を使うかというのがポイントでしょう。


アンサンブルのテクニック : 音程

私は高校時代部活でアンサンブルも吹いていました。今思えばどんな風に吹いていたのやら?

アンサンブル(室内楽)は指揮者もいなく、少人数のため一人一人に力が要求されます。が、同時に音程も少人数のため合わせやすく、吹奏楽として上達するためにもアンサンブルを行った方が良いと当時考え、夏のコンクールと春の定期演奏会の間に部内アンサンブル大会を開いたのを覚えています。先日、フランスはピレネー地方の吹奏楽の講習会を教えにいった際も、やはり講習内で「アンサンブル」の時間がありました。指揮者がいたパートもありましたが、フルートパートは指揮なし!で頑張りました。一週間で仕上げるので大変でしたが…。

余談になってしまいました。アンサンブルの極意はブログでは語り尽くせませんが、少しずつアンサンブルの楽しみ、コツなどもお話していきます。

アンサンブルで合わせるのが大変なのは・・沢山ありますが、まずは音程でしょう。音程は間違えてる、意見が合わないなどはありません。合わせれば良いだけ。しかし吹奏楽器は指が動くと「大体その音程」が出ますが、実は音程を合わせるという点に置いてとても難しい楽器です。息の強さ、方向、アンブシュアの力具合。。。全て見えるわけではないので、耳を頼りに(時にはチューナーも頼りに)1つには個人個人がきちんと音程を取れるようになるという、個人練習が必要になります。

個人練では、音階を音程に気をつけながらする(一音一音に気を取られすぎていると、相互関係が分からなくなったりするので注意)、そして分散和音(例:ドミソドミソドソミドソミド)も練習するのですが、この時例えば、ドを鳴らす機械や、ドミソの和音をキーボードなどで弾いて(出来れば音を残す)それに合わせて吹くなどの練習をします。チューナーにばかり頼っていると、耳より目が注意するようになってしまいますから、耳を鍛えるようにしましょう。(スゴく詳細を言えば、キーボードは平均律なので「ドミソ」の和音は完璧に取れた場合の管楽器のドミソよりも濁っているわけですが・・・・それほどまでに音程が取れる人は、多分このページを見ていないでしょうから・・・)

慣れてきたらバラバラ音階練も楽しいです。一人一音で、ドーレーミーファーソーラーシードーと吹いて行きます。吹き終わった所でキーボードで確かめてみるとすごくズレていたり。。。上行形は上がりきらず、下行形は下がり過ぎてしまうというのがよくあるパターンです。


もう一つには歌う練習です。音程を実際に声を出して取るソルフェージュは音大生も行います。音階を歌ったり、三度(ド-ミ)、四度(ドーファ)、五度(ド-ソ)と音程を広げながら歌う練習をしたりします。音程が耳に残れば、なんとなく段々と音程も取れてくるものです。
これは個人だけでなく、団体でも練習出来ます。一人がドを歌い、もう一人はファを歌う。ドとファは完全四度、ドとソは完全五度と呼ばれ実にスッキリと鳴ってくれるのです。高校時代、部活で最初にコラールを歌っていました。中々楽しいですし、もし部活で音程に悩まれてる方がいらっしゃるようでしたら試してみては?


さていざ曲の練習。例えば曲がC-dur ハ長調だとしたら、主和音(トニック)であるドミソの音で合わせます。
そして、最初にド・ミ・ソの音を振り分けます。誰か一人合図を出す人を適当に決めて、その人の合図で音を変えますが、その後は各自好きな音をそのドミソの和音の中から選びます。つまり半分偶然でドミソを作るわけです。音を変えても、ドミソの和音がきちんと合うようにするのが目的ですが、また同時にドミソの和音の雰囲気をつかむという目的もあります。
この際、完全五度のドとソを先ず合わせ、それからミを間に入れるようにします。管楽器の場合は三度のミは少し低めに取るつもりで入れると合います。多少和声に詳しい人は、もちろん、ドミナントも入れて練習しても良いと思います。



一度、四度、ってなんのこと!!!と思われた方。音程の練習をするためには多少和声の知識が必要になります。といってもそんなに難しい物ではありません。私も数字はですが、そんな苦手な私でも分かる基本的な範囲です。
ドから始まる音階、C-durではドが一度(上の図ではローマ数字)。それから順に数えるだけ。二つの音の音程を合わせる場合、ドとファの間はドから数えて、ドレミファ(1、2、3、4)で四度。レ〜ソもレミファソ(1、2、3、4)で四度です。
ドミソの和音は一度の和音。一度の音(主音)ドに、団子三兄弟システム(五線に隙間無く置く)で音を置くと出来上がり。C-durの四度の和音は、ドから数えて4つ目のファ(四度の音)から団子三兄弟システムで音を置いてファラドです。
何だか余計に分からなくなったわ・・・という方。。。部活で誰か詳しい人がいたら・・是非その人に聞いて下さい(^^)部活にもいないという方は、中々説明仕切れないので、是非一度簡単な本などを見てみて下さい。下の本は結構簡単にまとまっていてお勧めです。↓

ポケット音楽ブックス Vol.2 やさしい楽典 音階・調・和音




呼吸の練習 : エレベーター

呼吸の練習には二種類あると思います。

一つは肺活量を増やす方。

今までに紹介したふいご呼吸法は腹筋を鍛えて呼吸の量を増やす練習。


パイプ練習は肺活量を増やすというより、吐き方の感覚を育てると同時にお腹の支えを学ぶ感じでしょうか。この息の吐き方というのは、実際とても大事なのです。勢い良く吸って、勢い良く吐くだけでは、色んな音楽には使えなさそう・・・って思いますよね。上手に吐けば上手に吸える。


ここでは吐き方のイメトレ、”エレベーター練”のご紹介です。

ある呼吸法の紹介に”心や体がシンドイ時に呼吸法でスッキリ”って書いてありましたが、心や体がシンドイ時に呼吸法って結構シンドイのです。いかに心や体が疲れてる時は人間呼吸さえもしていないかっていう証明ですが、心や体が疲れてる時に”ふいご呼吸法”とか、もう想像するだけお疲れさまです。

そういう時は、肺活量を増やす的な呼吸法ではなくて、深く呼吸するゆったりした呼吸法が良いです。そんなゆったりした呼吸法としても使えそうなのが、このエレベーター練。より深い呼吸を身につけて行きます。

エレベーター練はとっても簡単。

息を深く(鼻から)吸って、口から少しずつ、長めに息を吐きます。
息を吐く時、エレベーターが喉の中心(3Dで自分の体をイメージ)から、スーーーっっと下に降りて行くのをイメージします。食道ーお腹ーそして足の間からスーっっと抜けて行く。
息もまるで体の中に吐いて行くかのように、そのエレベーターを追いかけて行くわけです。高層ビルの高速エレベーターじゃなくて、普通のゆっくり動くエレベーターです。

手でそのエレベーターを表現するのも良い方法です。エレベーターを押して行く、エレベーターの跡を辿る・・・。何でも良いですが、実際に手を下ろしながら。ちなみに目を瞑った方が、ずっとイメージしやすいです。



それを10回くらいでしょうか。体の中心を降りて行くエレベーターを想像しながらユッタリした気持ちで行います。内臓とか具体的生物学的物体は置いておいて、自分の体を3D空間としてイメージしてみましょう。

この空間が上手にイメージ出来るようになると、音の響きにも影響を及ぼしてきます。息を自分の内側に吐いて行くイメージは、特に高音域の響きを習得するのに俄然役に立ちます。また普段の音楽表現での中の息の柔軟性にも役に立っていると思います。



練習の工夫3- 細かく区切ってLOOK UP-


練習の工夫1でもお話しましたが、小さく分断して、最も出来てない所から練習する。というのは大事です。1小節出来なかったら、最も出来ない所を練習し、出来るようになったら、もう1拍なり2拍なり足して行く・・・という練習方法です。
この方法は、特に音が取りにくい時に役に立ちます。

音が取りにくいから出来ないんだ

と先ず気付く事が必要ですが、大体臨時記号が沢山あるとか、調性が小節ごとに変わる曲とか、音が飛び飛びの近現代曲などは「音が取りにくくて、指が回らない」ということが多いです。脳からの司令が薄い・・とでも言いましょうか。


この音列は、ある程度のレベルの人には難しくはないのですが、取り合えず用例として。
これはロジックで分けると、一小節めは in G (in Eマイナーとも)、2小節めは in A 三小節めはまたin G で、最後は in Cの調号になってます。そのロジックに気付けば良いのですが、ソルフェージュ力がまだあまりない人にはこれを一気に吹くと、臨時記号だらけで頭がグチャグチャに・・・となってしまうわけです。

そんな時は、一小節めだけを先ず練習します(次の小節の頭の音まで)。これだけなら難しくありません。
次に二小節めを練習します。♯3つという時点でグっっと来る人もいるかもしれませんが、一瞬忍耐で何回か”間違えずに”吹きます。違う音が入ってしまうと、頭が音を覚えてくれないので、違う音を入れないように間違えずに吹きます。何回(5回とか、10回)か出来たら、次に”LOOK UP練”です。見ないで練習するという練習です。

例えば一小節め

ミ ファ# ソ ラ シ ド  I ド#(←次の小節の頭の音まで)

と取り合えず見て吹いたら、次に楽譜を見ないで吹きます。段々増やして、見ないで何回か繰り返します。この時も”間違えずに”。集中!!!!!
もしどうしても必ず間違えるようでしたら、それは指の動きの問題かもしれないので、その間違える音&その隣の音だけまず練習です。


そんな調子で3小節目、4小節目と練習します。

一小節毎に出来るようになったら、1小節目+2小節目。3小節目と4小節目。2小節目と3小節め。と2小節単位で練習し、1小節めと2小節め→1小節め+2小節め+3小節め・・・と段々増やす練習などもします。
後ろから、4小節め→3小節め+4小節め→2小節め+三小節め+4小節目→1小節目+2小節目+3小節目+4小節目と後ろから段々増やす方法も効果的です。


後ろから増やすなど、細かい練習方法のアイデアは小泉剛先生の、フルート演奏の基礎がとても役に立ちます。絶版になっているようですが中古では見つかるようです。復版を期待しています!



メロディーと伴奏を見つける

ケーラーのフルート第一巻の記事の中でもお話しましたが、分析、解釈と練習方法はエチュードで学ぶことの一つです。


エチュードは技術だけを学ぶわけではありません。


エチュードはメロディーラインと伴奏が一緒になって、ソロ曲になっているパターンが多いです。メロディーラインと伴奏を同じ音量、同じ吹き方で吹いてしまうと、いわゆる”棒吹き”に聞こえるので少しだけ何かが変わる分けですが、その何か・・・は実際に聞いてみないと何とも申し上げられませんが、メロディーラインが少し浮き出るように吹き、伴奏は滑らかに且つ和声(こと、ケーラーやバロック時代の曲などは)を作るように吹く・・という感じでしょうか。

例えば私の譜面(お恥ずかしいまでの殴り書きです)から。bと書かれてるところから、オレンジので囲まれているのがメロディーラインです。
ケーラー第一巻 5番より
つまり、bからメロディーが、

シ(二分音符)、ラ#(四分音符)、シ四分音符、シ(二分音符)、ラ#(四分音符)、シ四分音符 レ(全音符)

となっていて、ソミソ、ソーーーと伴奏が入っているわけです。こういう風にメロディーラインを見つけたら、まずはそれだけ吹いてみることです。とてもメロディックに。何回も吹いてるうちに感覚が分かって、そこに伴奏を入れると、自然と棒吹きには出来なくなると思います。


もう一つの例はバロック音楽のソロ曲の定番、テレマンのファンタジーです。 

テレマン 12のファンタジー 7番 より



こちら、Aと書かれている所(2段目)からアウフタク付きで主題(動機?)が4小節間続きます。その後、ゴチャゴチャと沢山音が続いていますが・・・よくよく見てみれば、3段目の1小節目3拍目から、テーマが隠れているのです(テーマと書き足してある所)◯で囲まれてる音がテーマ、他は飾り音です。

このように、テーマと伴奏を見つけ出し、テーマだけ取り出して練習する練習をしてみましょう。


また植村秦一先生著のケーラー第一巻(シンフォニア出版)はこのテーマを浮き出させる練習など色々載っていて、分析・解釈を学ぶには最適な教本になっています。




耳から鍛える

音楽表現力を上げるとはどういう事でしょうか。表現という単語をテクニックに入れてしまうと「音楽はテクニックじゃない」という話にも繋がってしまうかな?と思ったので、音楽表現力を「テクニック」カテゴリに入れるべきかどうか迷ったのですが、やはりここは敢えて「テクニック」に入れておく事にしました。

音楽表現というと、なんだか感情を出せば良い、感情を込めれば良い・・と思うかもしれません。が、そんな「感情」「感性」にも色んな表現方法があります。「感情」や「感性」というのは、言葉で言う所の「言いたい事」に当たると思っています。

言いたい事がある。これが第一。

そして次に、そんな「言いたい事」を上手に伝える力、これが音楽表現力だと思います。これは、私は語学力で言う所の語彙力、文法力かなと思っています。私が最も得意な言語は日本語です。日本語だと、この言葉にしようか、この語順にしようか・・などと選べますし、選ぶことで、歯切れ良い文章にしたり、余韻を残す文章にしたり、説得力を上げる文章にしたりすることが出来るわけです。フランス語では日本語程そのような事が出来ませんし、英語に至っては基本文法に従え状態です。つまり表現力とは、伝える上で非常に重要なテクニックなのです。

さてさて実際は音楽を表現する際には、今まで上げて来た技術、タンギング、音、呼吸などを全部駆使します。これらは自分の体の駆使ですが、音楽表現力はここに自分の「感性」の駆使が入ってくると思います。テクニックの総合体とでも言いましょうか。


ではどうやってその「感性の駆使力」を上げるか、という話になります。そしてそのためにはやはりまずは「感性を磨く」事です。そして「感性を磨く」為にはどうするかということになり、そこで私は、まずは聞く事だと思います。音楽は耳で聞くものですから、まずは耳を肥えさせるということです。



日本の伝統音楽は口承伝統で、ひたすらに師匠を真似る事から学ぶと言われていて、そもそも学ぶという言葉と真似るという言葉の語源は同じとも言われています(語源由来辞典より)
なんていうと、「そしたら個性はどうなるの?」という話になると思うのですが、個人的には個性というものはどんなに真似てもにじみ出てくるものだと思っています。学ぶは真似るですが、真似るも学ぶなので、ただの猿真似ではなくて、真似ながら学ばなくてはならないわけです。形をソックリ真似るというのは実は大変で、多分真似る段階で、自分との違いが浮上してくるでしょうし、その違いを分析して、「もっとこうしてみよう」という発見があることでしょう。或は「自然と身に付いた」という事もあるかもしれません。

先生から言われた事をそのままする、とはちょっと違います。先生から言われた事は言われた事であって、自分で聞いていません。自分で消化してないから、ちょっと違う。真似るという行為は受け身なようで、実はすごく能動的な学び方法だと思います。

最近面白い話を聞きました。知人の所に来る生徒さんらが口々に、
「昔、昔習っていたピアノの先生がバッハは練習曲みたいでつまらないって言ってた」
と言うと言うのです。練習曲=つまらない という発言さえもどうなのかな、と思います。後々エチュード・曲の練習方法の中で御伝えして行きたいですが、エチュードにも沢山の音楽的面白さが隠されています。本人の姿勢次第です。
ましてバッハです。バッハよりもドビュッシーの方が好きだという個人的見解はともかく、バッハから音楽を見いだせないとは教育者としてなんとも悲しい限り。そして思ったのです。この先生方は、バッハを実は聴いた事ないんじゃないかしら?と。或は同じような考えを持った人のバッハしか聴いた事が無いとか。(音大生・音楽家だからといって、音楽を沢山聴いているとは限りません(悲しいですが、それも現実))

バロック時代の音楽を”シッカリ・カッチリ”というのは何故か日本の教育内であるようですが、あの頃の音楽はダンス(舞踏)と結びついているものも多く、動きがあるのです。音の動き、舞、そんなのも理屈ではなくて、聞いてみないと分かりません。和声の変化が大きく音色、空間に影響してきます(これは西洋音楽全般に言えますが)。それらが耳の感覚に結びついていないと、バッハの整然とした音の並びは”練習曲みたいでツマラナイ”に繋がるのかな??と思いました。

音楽は吹くのも楽しいけれど、沢山聴いてみてください。流し聴きあり、積極的に聴きあり。


J.Sバッハ/C.P.E.バッハ:フルート協奏曲 /ソナタ(クイケン演奏//バロックフルート)



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呼吸の練習 - ふいご呼吸法 - 空気を感じる


ヨガの方法で、ふいご呼吸法というのがあります。成瀬雅春さんという人の仕事力を10倍高める呼吸法トレーニング携帯用リンク )という本の中から、幾つかご紹介したいと思います。

呼吸はフルートを吹いて行く上でとっても大事なのですが、呼吸法が上達してくると、自分の体が立体的に見えてきます。これは声楽の発声法に近いと言われるフルートの音作りの上でポイントが高いことです。高音域、低音域の響きは、特に体を共鳴させる方法を使うことで豊かになるからです。実際体の中には、心臓、内臓etc. がギッシリ詰っているわけですが、イメージとして、体を空間としてイメージ出来るようになると音の響きの豊さが上がります。
また息は都市ガス・プロパンガスと同じで見えません。ガスは防災上臭いを付けてますが、息は・・・基本的には無臭ですよね。見えない、臭わないつまり五感を刺激しない。

だから実際息を出しながら吹いているにも関わらず、皆さんそれがどう出ているかとか、どの方向にどう行ってるかとか、あんまり意識していないのです。でも見えないけど”見える”そんな感覚が付いてくると、かなり上達します。呼吸法は、肺活量を増やすだけでなく、そんな体の使い方、息の意識も育てると思って良いかと思います。

さて、まず第一の練習方法はふいご”呼吸法。ふいごとはその昔暖炉や、釜に風を送って火を焚くための道具。アコーディオンの折り畳まれている部分を想像して頂ければ良いかと。


ふいご呼吸法は、そんなふいごになったツモリでお腹を動かして行います。

まず”鼻から”吐きます。この時お腹をガッと凹ませながら吐きます。
そしてお腹を戻しながら吸います。

これを10回繰り返して、10回目の”吸う”の時に思いっきり吸って、息を止める。

この止めている時間が延びて行くことを一応の目標にする

という呼吸法。

鼻先でフンフン吸ったり吐いたりするだけだと(鼻をすするように)、深く息が吸えないので、鼻の奥で吸うつもりで行ってます。成瀬さんアドバイスは、お腹の動きが無限マーク∞のように、止まる事なく動かすのがコツ。フーンフーン(はくーーすうーー)という二分音符的動きであって、フンッ!フンッ!と休みが入る八分音符+八分休符の動きではないということですね。

ゆっくりになれば成る程辛いので、最初はメトロノーム80くらいで段々60くらいに遅くして行く感じでしょうか。

私の大学ではキリスト教音楽が必修で、授業の中でパイプオルガンに触る機会がありました。パイプオルガンはフルートと同じで管に空気を送って音を出しています。現在は電気で風を送っているわけですが、私の大学のホ—ルのオルガンには”ふいご”で風を送る、古来のシステムが併設されていました。

当時のオルガン©http://macorgan.exblog.jp

絵のふいごは手で押していますが、私の大学のオルガンは大きいのもあってか、人が板の上に乗ってその重みで風を送りました(停電の時でも使える&恐らく教育目的もあって併設したのでしょう)。高さも2m近く上がったような記憶があります。上がりきった所で軽くジャンプすると重みと共にフワーっと降りてくる感覚、そしてそれと共にオルガンから音が聞こえて来た感覚は今でも覚えています。”空気は存在するのだ”と強く感じました。

一度、”ふいご”をご自分で体験されてみると良いと思います。例えば、自転車のタイヤの空気入れとか、ボールの空気入れ、膨らんだビーチボールを凹ますのでも良いかもしれません。オルガンと違って音こそ出てきませんが、この”空気が出て行く時の質感”が掴めるようになると、フルートの音質は一気に上達すると思います。





現代奏法 & 音作りに役立つ:ハーモニックス

今回はちょっとお話を変えて、現代奏法。

現代奏法の中ではフラッター同様良く使われている奏法で、現代まで行かなくとも近代位から使われているかもしれません。ちょっとパイプに空気が通ったような、幻想的な音がして、然程難しくなく皆が出来るので、よく使われるのかもしれません。

ハーモニックスは倍音ということなのですが、言ってしまえば、フルートの中音域の音も倍音で出しているので、そういう意味では既に知っている奏法ということになりますね。最初の要領は、つまり低音のミ〜シと中音のミ〜シの吹き方の違いが分かれば、何となくは分かっているということになるわけです。

この練習は高音域のキンキンカンカンに悩んでいる人にはお勧めですし、ピッコロ高音域のチューナーの振り切れ度が半端ないんですという人にもお勧めです。My ピッコロを初めて手にしたのは確か大学3年の頃。当時オーケストラのピッコロ奏者であった先生に、ピッコロはまずはハーモニクスをうんと練習すると良いよと言われました。吹奏楽部などでピッコロを吹く皆さんは是非練習してみて下さい。

一番簡単な練習方法は、トレバー・ワイ フルート教本 1 音づくり参照ページ)にも載っています。低音域のドの指使いで、中音のド、ソ、高音のド、ミ、ソまで出るという練習です。この他にも、簡単なミニエクセサイズがついています。ミニエクセサイズの方になると、少し難易度が上がります。


トレバー・ワイ フルート教本1 音づくり より
ハーモニクスが何故”音作り”の教本に入れられているかというと、唇のしなやかさ、息のコントロール技術、空気圧の調節とでも言いましょうか、それら音を作る上で大事な条件能力の向上に役立つからでしょう。
中音域&高音域を唇に頼りすぎていると(口の締め具合だけで出していると)、上のハーモニクスの高音域のミからは厳しくなってきます。ブブブっ!っと口が言ってしまうかもしれません。息&空気圧(お腹)の支えが大事になってきます。ピッコロはドがないので、レやミで練習します(ハーモニクスの音も全音、2音上がります。高音域は相当難しいです。)

ちなみにハーモニクスとは倍音なので、例えば高音の”ド”を吹いても、指使いの音である”低音のド”が何となく聞こえるのです。この何となく聞こえるというのが重要で、”全く聞こえない。正規の指使いと変わらなく聞こえる”場合は、かなり口に頼って出している音なのです。



ハーモニクスは大体出来るという上級者の方にお勧めなのが、【ウィル・オッフェルマン】現代フルート奏者のためにです。他にも色々な奏法が載っています。ハーモニクスは中々楽しい曲になっていますが、スピードに乗って吹くと、最後に難関があって中々面白いです。是非お試しあれ。



いつでも、何ででも音の練習


以前に紹介しました、音作りの本。ソノリテについては、ロングトーンを中心にした練習です。ロングトーンとは、その名の通り、長い音の練習なのですが、今回は動く音で音の練習をしてみましょう。

トレバー・ワイ氏による音づくり1の中にも少し顔を出す、”ライヒャルトの6つの練習曲”。こちらは、練習曲・・というよりも、4小節程の簡単なフレーズをどんどん移調して練習するという感じです。同じような内容でフィリップ・ベルノルド氏の”アンブシュアのテクニック”という本もあります(こちら、リンク見つからず・・・)

これらの練習は音を移動しながら、音の練習をしよう!という目的です。調性があるので、その調にあった雰囲気の音を出すという練習にもなりますね。これらの練習は、まだ指が覚束ない初心者にはちょっと難しいかもしれませんが、運指がそこそこ出来る人達にはうってつけの練習になります。


これらの基礎練習をのアイデアを生かして、エチュードや、曲の練習の中でも使う事が出来ます。タンギングの話を沢山したので、今度は逆に”スラ―・レガート”の話をしたいと思います。スラ―・レガートは音づくりの基本とも言えます。タンギングは一見難しいですが、実はスラ―で演奏すると言うのはとても難しい。そしてスラ―で美しい音が出ていなければタンギングしたらもっと悲惨になるという、一見矛盾している事を言うようですが、どちらも事実なのです。スラ―で出来るからこそタンギングで出来る。タンギングだと誤摩化せる・・・。どちらも事実。





このようなエチュードがあったとします。これを全てゆっくり目にレガートで練習してみて下さい。気をつける事は、以前にも書いた事と変わりません。音と音の繋がりを意識して、柔軟且つしっかり支えます。唇にあまり頼りすぎず、カクカクした動きにならないように気をつけます。

イメージはこれ。音の移り変わりが



こんな風にならないように・・・


どうですか??かなり大変ではないでしょうか?お腹の支えが必要です。唇のしなやかさ&柔軟性&筋力も必要です。

これは絵で言う所の下書きのような練習だと思って下されば良いのではないでしょうか。タンギング練習の為のエチュードでも、一回舌のことを忘れて音に注目してみて下さい。もしカスカスで、スカスカのレガートしか出来ないようだったら、それにタンギングが付くのですから…結果は目に見えてますね。


音の練習はこのように、機会あるごとに出来ると思って良いでしょう。




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腹筋を使って高音の練習

フルート演奏は優雅に見えますが、実際には結構ハードな楽器です。

吹いている息の半分近くは、音にならずに遥か彼方へと飛んで行ってしまいます(といっても、それが音を作るのに必要でもあるのですが)

お腹から息を出すということが、とても重要になってきます。高音域は特にお腹の支えが必要で、口の力で力任せに出すと、誰もが耳を塞ぎたくなるような音になってしまいがち。特にピッコロはお腹の支えが重要になってきます。
口をピンっと張って出す音のデメリットはもう一つ。音程がとても高くなってしまうことです。大概の初心者や、吹奏楽部などで常に音程を気にしなければならない人達の悩みが、”高音域の音程”です。こと、ピッコロに至ってはべらぼうに高くなってしまうこともしばしば。

今回は口に頼らず、とにかくお腹からの息で高音域を支える音を出せるようになろう!という腹筋を鍛える練習です。私が高校生の時から、ずっと行っている練習なのですが、楽譜自体はとても古くなってしまいました。

仕組みは簡単で、まずは中音域の”H”を腹筋だけで、タンギングなしで練習します。



上の譜面ですが、譜面はややこしく見えますが、要するに四分音符から、八分音符、三連符という形で、短くフっフっフっと吹きます。毎回フの後の休みの部分で息を吸いますが、凹んだお腹を戻すという感じでしょうか。息を吸う方はあまり意識しません。

音の美しさはさておきです。口はダバダバ(力の入ってない状態)を意識して下さい。口の力じゃなくて、お腹の力で出してやる!というつもりで。練習して行くうちに、段々要領は掴めると思います。





上の三連符が出来るようになったら、下の譜面にチャレンジです。下の譜面には、休符は書いていないですが、上と同様短くして、各音(各拍ではなくて、各音です)の後に息を吸います。

フっ(吸) フっ (吸)フっ (吸)となり、毎音の後に吸っているので、理論上ブレスをどこかで取る必要はありません。80〜となってますが、ブレスを取らないでも出来る速さから始めて下さい。
こんな感じになります。(殴り書きの注意書きがありますが・・)





ちなみに、フっっと勢い良く吐く時に、お腹の中を空っぽにする必要はないです。
緑の状態が通常として、軽く吸った状態がピンク、ガッツリ吸った状態が青として、青とピンクの間を行ったり来たりする感じです。。
私の師匠も言っていましたが、”演奏中は肺の中が空っぽになる状態にはしない”という理論です。演奏や音には常に”柔軟性”のような物が要求されます。空っぽ状態だと、その柔軟性が全く出来ないのですね。ということで、「空っぽ」と「満タン」の行き来ではなくて、軽くある状態と満タンの状態の行き来くらいに思って下さい。実際には見えない話なので、”感覚”のことですが。

ちなみにこの練習は(このページのコピーしか残っていないのですが…)宮本明恭氏の教本からの抜粋だったと記憶しています。宮本氏は他にも初歩から正しく上達する 実践フルートレッスン という教本をかかれていらっしゃるようです。



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