タンギングの練習 - 1 -


コツは息と鼻母音


タンギングは、フルート演奏の中で大事なものの一つです。タンギングは舌が快速に動けば良いという問題でもありません。タンギングの強さ、雰囲気、アーティキュレーションが変われば、音楽の表情が全く変わるからです。かつてバロックフルート時代にはアーティキュレーション(タンギングによって出来るフレージング)が表情を付ける為に使われた大きな手段でした。しかしながら、やはりタンギングの速さ、つまり舌の筋力を付ける事も練習の一つです。

まずは、どうしたらタンギング時の音が美しく出せるかというお話です。

皆さんの中でも、綺麗な音が出せるのに、タンギングが続くフレーズになった途端、ペペペペっという音になってしまって、悲しい思いをされている方も多いのではないでしょうか。


私の留学時代の先生はフランス語圏の人でした。先生曰く
「フランス語圏の人が最も綺麗なタンギングをする。」
ということでした。これは決して「フランス語圏の人を超えられない」という問題ではないので、ご安心を。

フランス語というのは日本語と同じようにほぼ子音と母音のセットです。(子音だけが続く事ももちろんありますが。)しかし日本語程子音(とくにKやT)がきつくなく、鼻母音が多いため口の中から鼻腔にかけて、何か響かせるような音をよくつかいます。私は個人的にこれがフランス人が綺麗なタンギングをする要因ではないかと思っています。

日本人の思うTKTKは、ちょっと発音が強すぎて、後ろに流れる息がないのです。フルートの音そのものは息を出す事によって出るので、結果、音の内容がないペペペッと吐き捨てるようなタンギングになりがちなわけです。タンギングが美しく聞こえるには、舌の動きもさながら、息が通っていなくてはいけません。


もう一つのフランス語圏人のメリットとは”鼻母音”と思っています。鼻母音とは鼻に掛けて発音するONやANなどです。留学時代、フランス語話者の友人が”熱燗(あつかん)”と言ったのですが、その”ATSUKAN"の”AN"がとても鼻に掛かっていて(皆さんも試しに鼻に掛けて言ってみて下さい)なんとも太々しい態度のお客になっていました。

ですがこの鼻に空気が抜けて行く感じをすると自然と口の中が広がります。この感じは音作りの上でも重要ですし、実は歌唄いの人もこの辺りをとても注意するようなのです。フルートの音作り技術は歌に似ていますから、なるほど納得です。

私はタンギングが続く時には、より一層息の流れを注意するようにします。舌の上を息が流れて行くのを意識し、舌を包み込めるだけの息の量と、支えも必要になります。プールのバタ足のようなものでしょうか。水(息)の外に足(舌)が出れば出る程、水しぶき(ペペペペっという音)が出ますが、水中の中で足が動く(息の中で舌が動く)分には水の流れは乱されません(音は乱れない)


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