部活でフルートを吹く人のために


少しでも個人練習を

部活で始める人(私の場合はこれでした)のメリットは、なんといっても仲間がいること。部活にもよりますが厳しい部活は毎日練習。仲間皆で一つの目標に向かいます。これは実は中々体験出来る事でもない、貴重な時です。
楽器は習うより慣れろという部分がありますが、毎日練習の部活では、まさにこの「慣れろ」が自然と身に付きます。一人で孤独な練習を何時間も続けることは、忍耐・努力ですが、仲間と一緒だと自然と出来てしまう、そんな経験があります。

日本の学生の楽器能力基準は、時折とても素晴らしい物で、西洋諸国の先生方を驚かせています。一方で、普段から合奏が中心、専属楽器の先生の不在ということもあり、変な癖がついてしまったり、こと吹奏楽部では周囲の音に埋もれて音色についてのコントロール不足も感じられます。

パート練習の際には、フルートだけ、木管楽器だけ(吹奏楽部の際はクラリネットが沢山いますから別に。サクソフォンも音が大きいので別に)で練習する事をお勧めします。そして少しでも個人練の時間を持つ事です。


パート練習の時間に、私が高校生の頃はソノリテについてを練習していましたが、若干飽き飽きしながらしていたように思います。グループで音の練習をする時は、コラールや賛美歌などは、簡単で四声も綺麗ですし、音程を合わせる練習にもなるので、良いかと思います。

さて個人練ですが 朝練 フルート 毎日の基礎練習30分という小泉浩さんというフルーティストが書かれた教本があります。


朝練シリーズは学校の吹奏楽部の「朝練」用に書かれた物で、他の楽器版もあります。絶対に朝やらなくてはならないというものではないです。ですが、大変よくまとまっていると思います。普段のレッスンでも、初中級レベルの中学生以降の生徒に使っています。


これを30分で全部やるのは不可能ですが、一項目から一つずつこなして行くようにして、出来るようになれば出来る量も増えてくるでしょう。


個人練の時は、とにかく音に気を使う、細かさに気を使う(指周り、タンギングの質など)ことを忘れずに!
私が高校生の頃は、部活でよく外練をしていました。学校が住宅街から離れた所にあったというのもあり、特に迷惑になることなく出来ました。真夏と真冬は厳しいですが、エコーが全くない状態での練習は自然と耳が鍛えられ、また音量も上がって行ったように思います。



テクニック:指まわり

一般的にテクニックと聞くと、指がどれだけ速く回るかということを最初に思いつかれる方が多いのではないでしょうか。確かに!指が回らなかったら、中々演奏したい曲も演奏出来ないです。10本の指を駆使して、沢山の音符を駆け巡るように演奏する、私達フルーティストは、実はもの凄いアスリートなのかもしれません。

しかし、指が回るだけでは実はだめなのです。音がついてこないと、上手に聞こえないのです。料理が三分で出来ても、美味しくなかったら意味がないのと同じような感じでしょうか。


指が回るということについて、まず考えたいと思います。

指が動かない・・・これには幾つかの理由が考えられます。指は脳からの司令で動きます。つまり脳が出すべき司令を分かっていなければ、指は動きません。指使いが分かっていなければ、もちろん指は動いてくれません。
そして指使いは分かっているのに、指が回らない理由の一つに、音の並びが覚えられていない、次に何の音に行けばよいのか実は分かっていないということが考えられます。そんな時はドレミで音の並びを言ってみて下さい(音程が難しい場合はつけないで)。どうでしょう?意外と言えなかったりしませんか??

また指は”指”という小さいものですが、筋肉で動いています。つまり「鍛える」必要があるのです。鍛えてないお腹はどんどん弛んで行きます。それ同様鍛えていない指は、やっぱり鈍くなってしまうのです。特に普段の生活で使っていない、小指や薬指は(神経はつながってるとききました)動きが鈍いですから、普段からなんとなく「小指よ動け!」と脳から指示を出してると、段々活性化してきます。

そして最後に、間違え過ぎの練習です。よくあるパターンでは、間違えて10回吹いたあと、一回成功すると通り過ぎてしまうのです。そうすると、筋肉は10回間違えたパターンを覚えてしまいます。昔10回言うクイズというのを行いました。1+1=1と10回言うと、1+1=1ってつい言ってしまうという。筋肉の記憶力とは侮れません。例えゆっくりでも、「成功」を繰り返して下さい。すると段々筋肉が動きを覚えてくれるようになります。


テクニック 教本一覧記事へ


トレバー・ワイ フルート教本3 アーティキュレーション


アーティキュレーション(タンギング)を扱った本は沢山ありますし、また音階練習の中にタンギングを沢山取り入れているものもあります。


トレバー・ワイ フルート教本 3 アーティキュレーションは、既にご紹介した、トレバー・ワイ フルート教本シリーズの3冊目です。




トレバー・ワイさんは、上達とは「時間と忍耐、そして知的練習」なのであると言っています。この本では、音作りでも使われているライヒャルトのエクセサイズ、タファネル・ゴーベールのEJ1などを使い、それらを徹底的にあんな手やこんな手を使って改造し、次第に舌を鍛えて、完全コントロールするぞ!!!という感じに出来ています。
その細かさたるや、時間と忍耐が沢山いりますが、この練習方法を曲中にも利用するなど、「知的」さを鍛えることも出来ます。初心者ではもちろん難しいですが、専門的に勉強しているわけではない人にも使えますし、前半ではアーティキュレーションとは何たるかを語っていらっしゃるので、読み物として興味深いです。



対象:中級〜
性格:辛抱強い人。アーティキュレーションを絶対に改良したいという強い願望のある人。 
目的:舌の筋力、コントロール力、繊細さを鍛える。アーティキュレーションによる表情の違いを付ける。シングル・ダブル・トリプルタンギングの制覇。 

タンギングの練習 - 1 -


コツは息と鼻母音


タンギングは、フルート演奏の中で大事なものの一つです。タンギングは舌が快速に動けば良いという問題でもありません。タンギングの強さ、雰囲気、アーティキュレーションが変われば、音楽の表情が全く変わるからです。かつてバロックフルート時代にはアーティキュレーション(タンギングによって出来るフレージング)が表情を付ける為に使われた大きな手段でした。しかしながら、やはりタンギングの速さ、つまり舌の筋力を付ける事も練習の一つです。

まずは、どうしたらタンギング時の音が美しく出せるかというお話です。

皆さんの中でも、綺麗な音が出せるのに、タンギングが続くフレーズになった途端、ペペペペっという音になってしまって、悲しい思いをされている方も多いのではないでしょうか。


私の留学時代の先生はフランス語圏の人でした。先生曰く
「フランス語圏の人が最も綺麗なタンギングをする。」
ということでした。これは決して「フランス語圏の人を超えられない」という問題ではないので、ご安心を。

フランス語というのは日本語と同じようにほぼ子音と母音のセットです。(子音だけが続く事ももちろんありますが。)しかし日本語程子音(とくにKやT)がきつくなく、鼻母音が多いため口の中から鼻腔にかけて、何か響かせるような音をよくつかいます。私は個人的にこれがフランス人が綺麗なタンギングをする要因ではないかと思っています。

日本人の思うTKTKは、ちょっと発音が強すぎて、後ろに流れる息がないのです。フルートの音そのものは息を出す事によって出るので、結果、音の内容がないペペペッと吐き捨てるようなタンギングになりがちなわけです。タンギングが美しく聞こえるには、舌の動きもさながら、息が通っていなくてはいけません。


もう一つのフランス語圏人のメリットとは”鼻母音”と思っています。鼻母音とは鼻に掛けて発音するONやANなどです。留学時代、フランス語話者の友人が”熱燗(あつかん)”と言ったのですが、その”ATSUKAN"の”AN"がとても鼻に掛かっていて(皆さんも試しに鼻に掛けて言ってみて下さい)なんとも太々しい態度のお客になっていました。

ですがこの鼻に空気が抜けて行く感じをすると自然と口の中が広がります。この感じは音作りの上でも重要ですし、実は歌唄いの人もこの辺りをとても注意するようなのです。フルートの音作り技術は歌に似ていますから、なるほど納得です。

私はタンギングが続く時には、より一層息の流れを注意するようにします。舌の上を息が流れて行くのを意識し、舌を包み込めるだけの息の量と、支えも必要になります。プールのバタ足のようなものでしょうか。水(息)の外に足(舌)が出れば出る程、水しぶき(ペペペペっという音)が出ますが、水中の中で足が動く(息の中で舌が動く)分には水の流れは乱されません(音は乱れない)


テクニック 教本一覧記事へ

フルート入門 教則本

さてフルートを始められる方。独学で始められる方、先生につかれる方、サークルで、部活で・・・
色々な環境で始めることと思います。まずは何から手を付けたら良いのかは迷う所です。

教室に入室される場合は先生にお勧めされる教則本があるので心配いりません。
ここでは、独学で始める方、またこれからフルートを教える方に参考にして頂こうと思います。
フルートをこれから始める、初めて教える方への参考です。  


アルテスフルート奏法 第一巻 植村泰一 訳・解説 
アルテスの時代には、あまり小さな子供はフルートは吹きませんでしたから、どちらかというと大人向けです。中学生位からは使えます。ある程度の年齢になると、背景がそれぞれ違ったり、性格(嗜好)の差も大きく出ます。古典的でつまらないと言われたりもするアルテスですが、ある程度の年齢からには、とても良く出来たエチュードだと思います。特にレッスン8からは実に古典クラシック時代の良い音楽で、音楽的にも学ぶ点が沢山あります。子供でもある程度吹けるようになったら、レッスン8から始めたりもします。


 

植村泰一さんの解説付であるこの著、実は使った事がないのですが、ケーラー第一巻の解説(練習方法など)はとてもためになりました。楽譜なしの解説のみの著 アルテスフルート奏法 第一巻 レッスンの実際 は、教える側のレッスンの参考になります。
他、山下兼司さん著のアルテスフルート教本〈初級〉なども出ています。



トレバー・ワイ 初級用フルート教本(上)

 

こちらは子供でも小学校高学年位や、元々ピアノを習っていて譜読みに苦労がない子には結構使えます。上の後には、トレバー・ワイ 初級用 フルート教本 下 があります。アルテスは中音のシから始めるのに対し、低音から始めます。こればかりは、何が正しいというのは内容に思いますが、小さい子供(低学年)には中音域の上は体力的に大変なようです。
この教本は昔のヨーロッパ、特にイギリスの民俗曲や民謡が多く、その雰囲気が分からないとあまり良い曲集に思えないかもしれないですが、色んなスタイルの曲が入った良い教本です。 ピアノ伴奏付はこちらトレバー・ワイ 初級用フルート教本 ピアノ伴奏付き


大人入門者向け

フルート入門ゼミ (はじめの一歩) 小さいサイズで、簡単な呼吸法も載っていて分かりやすかったです。



トレバー・ワイ 音作り

音作りに限らず、私が気に入って揃えた教本の一つ。トレバー・ワイ フルート教本 1 音づくりです。トレバー・ワイさんの教本シリーズは何か国語かに訳されている教本です。イギリス人フルーティストです。

少々細かいのですが読み物としても興味深いです。改訂版があるのですが、古い版の方が評判が良いらしいです。









トレバー・ワイさん曰く、先述の”ソノリテについて”を書いたモイーズさんに
「先生の教本をさらに発展させたものを書きたいが良いか」
と尋ねたところ、
「わたしの教本は完璧だ。なにを改訂するのだ。」
と言われてしまったらしいですが、そのお話にある通り、先述の”ソノリテについて”に基づいて書かれています。その他、ハーモニックスの練習、ライヒャルトの6つの練習曲からの導入などもあり、確かに”発展”しております。

トレバー・ワイさんの本の特徴は、とっても細々と説明されている事です。実は最初の音の練習、低音域、中音域、高音域以外は初心者には難しいですが、読み物としても大変興味深いです。

ハーモニックスの練習、音色の練習と称したライヒャルト、唇のしなやかさの練習など、初心者以外の人にとっても内容的に充実しています。


対象:初心者〜上級者
性格:意外と万人向き
目的:音の改善、唇のしなやかさ