音の要素と技術 - 低音域をフォルテで / 音色のパレットを増やす 2 (改訂)

音色のパレット増やそうシリーズ2です。

音色のパレットの三原色。息の『圧力(お腹の支え)』『スピード』『量』。


今回のテーマは、低音域のフォルテ。高音域のピアノ同様、三要素を考えてみます。


その三要素の他に、筆の材質的要素であるアンブシュア、タンギング・・・などがありますね。


三要素全般

まず全般の話ですが、低音域の息は、冬場に手を温めるような息の出し方。高音域の息の出し方は、スープを冷ますような息の出し方・・・という説明を聞いたことがありますが中々的を射ていると思います。

低音域の息は、基本全般的に、スピードが遅く、量もそんなに出しません(場合によりますが)。支えは高音域のように圧力を与えるためというより、息がドバドバと出て行かないように一定の圧力を保つために使われているイメージです。


アンブシュア 

低音域では全般的にアンブシュアはユッタリです。低音域で鳴らそうと頑張るのと同時に口を引っ張ってしまう人がいますが、引っ張れば引っ張るほど音が鳴らなくなります。大きな音でもトローン口です。


タンギング

タンギングも全般的にユッタリというか、下の先ではなく、全体を使うようなイメージです。特に低音域の右手の範囲の音は、TTTTというより、デュグデュグとドゥフドフの間というか…舌を火傷してしまって、”あーあつい!”と言えず、”あーあふぃあふぃ!”ってなってしまうような、そんな感じ。しっかり付かない感じです。低音域で使う息は、息のスピードが遅い&圧力もゆったりめなので、その流れを邪魔しない緩めのタンギング。


体内共鳴

フルートは歌同様体内共鳴を意識することが大事です。低音域の時は低い声を出すのと同じで胸骨内の共鳴を意識すると、大分音が出てきます。自分の出せる最低の声(えっと音域がと言う意味です…)を胸骨の共鳴を意識しながら出してみてください。テノール歌手やバリトン歌手を見ると顎を下げてるというか顎から下・喉・胸の中で共鳴させているのが分かります。


低音域フォルテで”espressivo、表情豊かに”


フォルテというからには、息の量は入ります。しかし高音域同様、”表情豊かで、エスプレッシーヴォ”な場合は、息のスピードは上げません。スピード<量では柔らかい印象は高音域と同じです。


たっぷりの量をゆったりと・・・というのが基本ですが、タップリの量をゆったり出すためには、やはりお腹の支えが重要になります。低音域だからとお腹がサボらず、しっかり支えを作り、寧ろ息が勝手に出て行ってしまうのを防ぎます。



低音域フォルテ”鋭く・強く・リズミック(あるいはスタッカート)”

低音域でフォルテは、こちらの方が難しいですね。低音域で鋭くするのが難しいのです。リノスの歌などでも出て来る、頑張れば頑張るほど、音が出なくなっちゃうという、迫力のある低音。


タンギングなしの腹筋だけ練習
この類の音を要求される時の練習方法としては、一番効果的だと思います。低音域での”息の圧力・支え”は、高音域のそれとはだいぶ違います。タンギングなしで、お腹だけで短く出すという練習は、低音域のためのお腹の感覚を掴むにはとても良い練習です。







お腹だけ練習は、アンブシュア・タンギング等に頼らずお腹だけで音を出すことを意識。フっっと勢い良く吐く時に、お腹の中を空っぽにする必要はないです。

下の絵の緑の状態が通常として、軽く吸った状態がピンク、ガッツリ吸った状態が青として、青とピンクの間を行ったり来たりする。

高音域ではこの感覚が広く(勢いがつく)低音域ではこの青とピンクの幅とても狭い(勢いはそこまでない)と考えて良いと思います。ここをあまり強くしてしまうと破裂音になって音になりません。(破裂音が必要な時は別)ピンク部分の支えが大事です。





音の柔軟性の中でもお話しているソノリテについて (Leduc版)のアタックの練習などを使って、普段から練習しておくのも良いと思います。





このお腹の感覚がつかめたら、そこにタンギングを添えるです。つまりお腹である程度鋭い強い音を出せるようにして、そこにタンギングが表情をさらに加えます。タンギングも高音域のように強く使ってしまっては、息の流れ<タンギングになってしまい、音が聞こえなくなってしまいます。その微妙なさじ加減がポイントになってきます。



音の要素と技術 - 高音域をpで / 音色のパレットを増やす 1 (改訂)

とても久しぶりになってしまった更新です。

皆さん、美術で『赤、青、黄色』の『三原色』というのを習いましたか?音にもいくつかの『要素』があります。フルートの音は、息の『圧力(お腹の支え)』『スピード』『量』だと思っています。アンブシュアの形などもありますが、それは細かいテクニック。口はあくまで出口に過ぎませんね(ある時パユさんも同じこと言ってたので、自信満々に言えるように笑)

さて今回はその三原色ならぬ、三要素を意識して「音色のパレット」について考えたいと思います。音のパレットの色を増やそうとよく聞きます。では音色のパレットはどうしたら増えるのか。音に実際色がついていてくれればわかりやすいですが、残念ながら音は無色無臭。耳で聞くしかありません。

音のイメージを持つこと大変大事ですが、正直なところ、どんなに”こんな音でーー”と念力を送った所で、中々魔法は掛かりません。最近は色もRGBなどで表されますが、”きれいな赤色だなぁ”・・・という所を一歩踏み込んで、これは”#FF0000ではなくて、#DC143Cかな?”と分析してみる。。。

三色の混ざり具合の割合を分析することで色の数が増えるように、音色も同じようにちょっと冷静に分析して、音色のパレットを増やしましょう!


高音域をP 圧力(最大)ースピードは高音域用ー量減らす

高音域は基本的に息のスピードが必要です。これを”P”にする場合は、息のスピードは落とさずに量だけを落とします。量を落とすと一緒にスピードが落ちることが多く、音域が落ちてしまったりします。




又、初心者は大概お腹の支えが足りず、口プッシュ(ホースの先っぽを抑える原理で、口周辺に力を入れることでスピードを上げてる)で息のスピードをつけて高音を出してることが多いので、全体的量を落とすことが出来ません。そのため、高音域のPは難しいです。





高音域Pでの音色パレットの分析

一口に高音域のPといっても、それだけだと機能的で、あまり音楽的ではありません。ここで、音楽的一例ですが、例えばespressivo、表情豊かにという指示があり、メロディーが大変甘美だったとします。

同じ高音域の”P”でも、スピード>量で出すPは鋭い音の印象を与えます。スピード<量では柔らかい印象を与えます。
この指示があるところで、スピード>量になると鋭さが目立つため、ロマンチックな愛の言葉を早口で鋭く言われてるような、微妙な誤差が生じてしまいます。なので、スピードは保ちつつ〜という程度で息の量でスピードをカバーする、スピード<量で演奏します。


逆に緊張感のある高音域のP、侍斬切り!(福島和夫の冥の中に出て来るような)の突き抜けるような高音域のpというのもあるかと思いますが、そんな時は量<スピードです。

息の量はPなので、基本ケチケチと使わなくてはなりません。ただスピードを出すとついつい息の量も出てしまうので、お腹の支え(圧力)を使って、息よ出て行くなかれ!という感じです。ファゴットやオーボエの人は体内に息がたまって苦しくなるらしいですが、ちょっとそんな感じですね。高音域のピアノは体内圧力が高まっていると思います。

こうやって3つの要素を考えると、色々な音色が出来て来ます。

もちろんこれだけではなく、今までお話ししたような、体内反響、鼻腔の話など、豊かな高音域のPを出すにはたくさんの工夫が必要です。

そして一番大事なのは”こういう音が欲しい!”という、内側からの欲求ですね。音のパレットを増やすには、感性のパレットを磨きましょう(^^)



現代奏法:ホイッスルトーン

今回はホイッスルトーンです。

前々回の 、吹き口をセンシティブにとちょっと共通点があるかもしれません。結構デリケートな奏法で、小泉さんの著書によるとかなりのテクニックを要するということなので、上級者のチャレンジでしょう。

こればっかりは、兎にも角にも練習あるのみです。

1:息の量は非常に少なく、スピードもとても遅い
2:唇は殆どまるで何もしてない状態。小さく穴が空いている程度
3:お腹の支えと息の圧力はいる(息を吐こうとして口を閉じたような状態)


側から見たら、音も聞こえず(小さい)、まるでフルート持って止まった人に見えるかもしれません。

求められるテクニックとしては、

1:出て行く息の量のコントロールの調節を求められる(お腹の支えが重要)
2:息のスピードの安定。(すぐにピヨリ!という。お腹の支えが重要)
3:アンブシュアはとてもフリーな状態。一切力入れない。
4:吹き口と歌口の関係性。狙い所と調節。(とても絶妙。鳴りどころを探すしかない)


因みに、このホイッスルトーンがフルートで出来るようになったらピッコロの音が良くなりました。同門下の子もホイッスルトーンが出来るようになってからピッコロの音が良くなったと言っていたので、私だけではないようです。

何故ピッコロの音が良くなるのか推測。

ピッコロは楽器が小さく吹き口も小さく、高音域なため、ついフルートの高音域のアンブシュアで吹いてしまう=アンブシュアが力んでしまいがち。でも本当は吹き口と歌口の関係性・狙い所のセンシティブさと、息の量のコントロール力を高めれば、力まずに綺麗な音を出すことができます。

これらのテクニックを求められるホイッスルトーンは、絶好のトレーニング方法なのかもしれません。詳細は次回の課題で書こうかと思います


とにかく唇に力が入ってると、息のスピードが速すぎると、息の量が多すぎると出ないホイッスルトーン。


管体が長くなると、その分息量がいるせいか、音が弱々しくなる傾向があるかと。小泉浩:フルートの現代奏法―演奏家と作曲家のための―(SJ250)には、高音域のスペシャルフィンガリングが載っていましたが、私のフルートではイマイチ?フルートによるのかもしれません。

私の個人的経験上では、

1:左手の音の方が大きな音が出しやすい。
2:高音域の指使いの方が出しやすい。(下のビデオ最初)




 また ウィルオッフェルマンさんの現代フルート奏者のためにのエチュードでは、低音のド、ド#の指使いだけでハーモニクスホイッスルトーンをするというエチュードがあります(ビデオ21秒から) 音は弱々しく、実際曲では使いづらいですがホイッスルトーンの良い練習になります。High Dはかなり難しいです。


ピッコロのホイッスルトーンは今の所実際曲では使ったことはないのですが・・・管体が木製のせいか共鳴は銀製フルートとは少し違う気がします。ただ管体が小さいので音が大きくなります。(ビデオ1分16秒から)高音域指使いは鳴らしづらいですが、中音域は普通になります(Dは人差し指抜かない)人によるのかもしれません。ピッコロの場合管体が小さすぎるせいか、むしろ右手を使う音の方が出しやすいです。

どちらにせよ良いアンブシュアの練習になるので、ある程度吹ける方はチャレンジしてみると良いと思います!






  現代奏法エチュード
   



奏法の説明集(曲ではない)